建設関連に従事する方は今や必須となっている「第二種特別加入制度労働災害補償保険」ですが、なぜ必須となっているのか?もしくは本当に必須なのか?他に必要な保険は何なのか?ここで簡単に説明していきましょう。
国土交通省通達
国土交通省は、現場入りする一人親方の適切な保険加入を通達しました。
そこには「働き方に応じて加入する保険が変わる」と記載されています。難しいことはここでは記載しませんが、国土交通省の「判断事例集」を載せておきますので、ぜひ参考にしてみてください。
●国土交通省「みんなで進める一人親方の保険加入」社会保険保険加入にあたっての判断事例集
国土交通省 「みんなで進める一人親方の保険加入」社会保険保険加入にあたっての判断事例集
https://www.mlit.go.jp/common/001002165.pdf
私も読みましたが・・・
非常にわかり易い!(国の説明文としては本当に珍しいです!)
一人親方が加入すべき社会保険は以下の通りです。
- 市町村国保もしくは国保組合(国民健康保険のこと)
- 国民年金保険
- 労災保険(特別加入制度)
以下は参考まで
株式会社など法人に勤めている方
- 雇用保険
- 協会けんぽ(健康保険証ですね)
- 厚生年金保険
個人経営の事業所に勤めていて常時使用労働者が5名以上いる事業所
- 雇用保険
- 協会けんぽ(健康保険証)
- 厚生年金保険
個人経営の事業所に勤めていて常時使用労働者が5名未満の事業所
- 雇用保険
- 市町村国保もしくは国保組合
- 国民年金
日雇い労働者
- 雇用保険(日雇労働被保険者)
- 市町村国保もしくは国保組合もしくは健康保険(日雇労働被保険者)
- 国民年金
建設企業(会社)の皆様へ
次に、雇い側への注意喚起が記載されています。
○社会保険未加入の場合には、許可行政庁から、建設業の許可・更新時、経営事項審査(経審)時、事業所へ の立ち入り検査時に加入指導を受けます。
なおも未加入の場合には、保険担当部局に通報され、強制加入措置を受けることがあります。状況によっては許可行政庁から監督処分を受けることがあります。
○下請企業は、元請企業による協力会社の審査時や下請契約時などに加入状況を 確認され、未加入の場合には加入指導を受けます。
○また、業務委託や個人請負の形式をとった一人親方であっても、働かせ方によっては労働者に当たると判断され、会社で保険加入させるべき場合があります。
○会社の保険料の負担を軽くするために、社員として雇用していた技能労働者を一人親方として独立させ、会社との請負の形にすることは、請負契約の形式であっても実態が雇用労働者であれば、偽装請負として職業安定法(昭和22年法律第141号)等の労働関係法令に抵触するおそれがあることに留意する必要があります。
( 「社会保険に関する下請指導ガイドライン」より抜粋)
○実態が労働者であることが判明したときには、労働者として社会保険関係法令が適用され、保険料の追納もあり得るとともに、労働関係法令に基づく処分を受けることがあります。
これは、そこそこ難しく記載されていますが、解釈としては以下の通りで良いかと思います。
- 未加入者を現場で使っていると国から指導をします
- 指導してもなお未加入者がいた場合には監督処分をします
- 会社は加入しているかどうかを確認してください
- 業務委託や個人請負でも働かせ方によっては労働者とします
- その場合には会社で保険加入させないといけない場合があります
- 会社の保険料負担を軽くしようと、雇用していたものを一人親方にした場合でも、実態は雇用労働者と同じならば、大変なことになります
- 実態が一人親方ではなく「労働者」としての働き方であったとわかったら、その会社はもっと大変なことになります
ここで大変と書いたのは「法律に則り処分します」という事です。
つまり、一人親方を守るために企業、請負、依頼主は、適切な保険に加入していることを確認する義務があり、それを知らなかったでは済まされませんという事を国土交通省は通達で出しているわけです。
厚生労働省からの注意喚起
厚生労働省は、労災保険の法規的役割を担っています。
労災保険に関して、特に一人親方は自分を守る、家族や仲間を守るために加入しましょう。という注意喚起を出しています。
厚生労働省の法規的内容は正直難しいので、下記のサイトをぜひご覧ください。
こちらは、厚生労働省が出している一番わかり易いパンフレットだと思います。
建設工事に従事する一人親方の皆様へ
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000209888.pdf
まとめ
いままで説明した通り、一人親方が一人親方としての働き方をする以上は、下記の保険に加入していないと「現場入りはできない」という事です。
- 市町村国保もしくは組合国保(国民健康保険)‐強制加入
- 国民年金保険‐強制加入
- 特別加入制度労災保険‐任意加入
現場入場制限が発動されましたが、もともと国民皆保険制度という法律がありますので、日本国民(日本に籍を置くもの)は、必ず保険に加入しなければいけません。これは自分や家族、仕事仲間、請負会社等々を守るものです。
人はだれしもお金を払っている以上は使わなければ損をすると考えてしまいます。
万が一が起きなければ使わないので無駄だと思ってしまいます。
この保険料は誰かが困っているときに皆で助け合って、お金を出しているという(相互扶助)の精神の上に成り立っています。
必ず自分はケガも病気もしないんだ!って100%言えるのであれば、国の保障制度も民間の保険も必要ないってことになります。
入ってればよかった・・・という事にならないように。
代表理事
大学を卒業後、大手と呼ばれる企業で営業力を発揮。受賞歴は多数。実姉を亡くし人生を考え起業。IT、建設、金融、海事や伝統工芸など様々な事業を展開し経験を重ねる。各業界の経営者、特に士業業界からのセミナー依頼を多数受ける。厚生労働省の承認を得て、特別加入団体を運営。相談者に耳を傾けるため、産業カウンセラーの資格を得て労災関連全般の業務を執り行っている。
人見知りという概念が欠落していて、人との壁を作ることはしませんが、嘘か誠か相手の気持ちに入り込みすぎてバカを見ることも多々あり。
人の笑顔が大好物。嫌いなものは、なぜかシイタケ。細かく切ってもわかるのが得意技。
趣味は釣り・ギター・ガーデニング・DIY・ドライブ・操船etc…特に釣りに関しては遊漁船を経営してしまうほどの釣り好きです。
社会保険制度のうち、労災保険は労働に対しての手厚い補償内容です。
元請け企業や中小事業主、一人親方として働いている方が、業務災害から経済的に身を守る唯一の手段です。この社会保険制度をもっと認知していただければと活動しています。