石工事業とは、石材や擬石、石材に類似するコンクリートブロックを加工・積み上げ・取り付ける建設業です。代表的な仕事には、石積み工事、石張り工事、コンクリートブロック積み・張り工事などがあります。
石工事業を営む場合、原則として「石工事業」の建設業許可が必要です。ただし、工事1件の請負代金が消費税込み500万円未満の軽微な建設工事だけを請け負う場合は、建設業許可を受けずに営業できることがあります。
また、石工事には、重量のある石材の落下・転倒、加工機による切創、石片の飛来、高所からの墜落、石材粉じんの吸入といった労働災害の危険があります。一人親方は元請会社の労災保険で当然に補償されるわけではないため、自分自身で一人親方労災保険へ特別加入しておくことが重要です。
この記事では、石工事業の定義と仕事内容、代表的な工事例、建設業許可が必要になる条件、他の建設業種との違い、事故リスク、一人親方労災保険についてわかりやすく解説します。
石工事業とは
石工事業とは、天然石や擬石、石材に類似するコンクリートブロックなどを加工・積み上げ・取り付けることによって、工作物を築造する建設業です。
国土交通省は、石工事を次のような内容の工事と定めています。
石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事
代表的な工事として、石積み工事、石張り工事、コンクリートブロック積み工事、コンクリートブロック張り工事などがあります。
石工事は、石材を単に販売・運搬する仕事ではありません。石材を加工し、所定の場所へ据え付けたり、積み上げたり、壁や床などへ張り付けたりする施工まで行うことが特徴です。
石工事業の主な
石工事業者は、石材の選定や加工から、運搬、据え付け、仕上げまで幅広い作業を担当します。
石材の加工
設計図や施工場所の寸法に合わせて、石材を切断・研磨・穴あけ加工します。
天然石は、種類や産地によって硬さ、吸水率、耐久性、色合いが異なります。加工中にひび割れや欠けが生じないよう、石材の性質に合わせて工具や加工方法を選ぶ必要があります。

石積み工事
石材や擬石を積み上げ、石垣、擁壁、護岸などの工作物を築造する工事です。
石の形や大きさ、荷重のかかり方を判断しながら積み上げます。施工方法によっては、モルタルやコンクリートなどを使って石材を固定します。

石張り工事
建築物の外壁、内壁、床、柱、玄関、階段などに石材を取り付ける工事です。
石材の重量や下地の状態を確認し、接着材、金物、モルタルなどを使用して固定します。落下や剥離を防止するため、適切な下地処理と確実な固定が欠かせません。

コンクリートブロック積み・張り工事
擁壁や法面処理などを目的として、石材に類似するコンクリートブロックを積み上げたり、張り付けたりする工事です。
同じコンクリートブロックを扱う場合でも、工事の目的や施工方法によって、石工事業ではなく「とび・土工工事業」や「タイル・れんが・ブロック工事業」に分類されることがあります。
石工事業に含まれる主な工事例
石工事業に該当する代表的な工事には、次のものがあります。
- 石積み工事
- 石張り工事
- コンクリートブロック積み工事
- コンクリートブロック張り工事
- 石垣の新設・改修工事
- 擁壁への石材・ブロックの積み上げ工事
- 法面への石材・ブロックの張り付け工事
- 建築物の外壁・内壁への石材取り付け工事
- 床・玄関・階段などへの石張り工事
- 庭園や外構における石材の据え付け工事
ただし、工事名だけで許可業種が決まるわけではありません。実際の施工内容、使用材料、施工規模、工作物の種類などをもとに判断されます。
石工事と他の建設業種との違い
石工事業は、扱う材料や施工方法によって他業種との区別が難しい場合があります。
とび・土工工事業との違い
大規模なコンクリートブロックを据え付ける土木工事は、一般的に「とび・土工工事業」に分類されます。
例えば、次のような工事です。
- 消波ブロックの据え付け
- 根固めブロックの据え付け
- プレキャストコンクリート製の柱や梁の設置
一方、法面処理や擁壁を目的としてコンクリートブロックを積み上げたり、張り付けたりする工事は、石工事業に該当します。
タイル・レンガ・ブロック工事業との違い
コンクリートブロックによって建築物そのものを築造する工事は、原則として「タイル・れんが・ブロック工事業」に分類されます。
石工事業は、擁壁や法面、建築物の内外装などに、石材や石材に類似するブロックを積み上げたり、取り付けたりする工事が中心です。
タイルを壁や床へ張り付ける工事については、通常、タイル・れんが・ブロック工事業に該当します。
造園工事業との違い
庭園内の景石配置や石組みは、造園工事の一部として行われることがあります。
庭園全体を計画し、植栽、地被、景石、園路などを一体的に整備する場合は造園工事業に該当する可能性があります。一方、石積みや石張りなど石材施工を独立した工事として請け負う場合は、石工事業に該当することがあります。
工事の区分に迷った場合は、契約内容や施工方法を整理したうえで、許可行政庁へ確認することが重要です。
石工事業に建設業許可は必要?
石工事業を営業する場合、原則として「石工事業」の建設業許可が必要です。
ただし、請け負う工事が軽微な建設工事だけである場合は、必ずしも建設業許可を受ける必要はありません。
石工事は建築一式工事以外に該当するため、工事1件の請負代金が消費税込みで500万円未満であれば、原則として軽微な建設工事となります。
500万円の判定では、次の点に注意が必要です。
- 消費税と地方消費税を含めて判断する
- 注文者が提供する材料の市場価格や運送費も加算する
- 正当な理由なく契約を分割した場合は合計額で判断される
- 同一工事を複数の契約に分けても、実質的に一体なら合算される可能性がある
500万円以上の石工事を請け負う場合は、石工事業の建設業許可が必要です。
なお、建設業許可が不要な軽微な工事であっても、契約書面の作成や安全管理、廃棄物処理などに関する法令を守らなければならない点は変わりません。
石工事業で独立する一人親方の仕事
石工事業では、一定の技術と経験を身につけた職人が一人親方として独立するケースがあります。
一人親方が請け負う仕事には、次のようなものがあります。
- 元請会社から依頼される石張り工事
- 外構工事に伴う石積みや石材の据え付け
- 住宅の玄関・階段・床への石張り
- 建築物の壁や柱への石材取り付け
- 石垣や擁壁の補修
- 庭園内の石材施工
- 既存石材の撤去・交換・補修
一人親方は仕事の自由度が高い一方、営業、見積もり、契約、材料の手配、安全管理、保険加入なども自分で行わなければなりません。
請負契約の形式になっていても、仕事の指示方法や勤務時間、報酬の決め方などから実質的に労働者と判断される場合があります。契約の名称だけで一人親方に該当するとは限らないため、働き方の実態を確認することが大切です。
石工事業で発生しやすい労働災害
石工事では重量のある石材や切断機械を扱うため、重大な事故につながる危険があります。
石材の落下・点灯
石材のつり上げや移動、仮置き、据え付け中に石材が落下・転倒し、作業者が下敷きになる事故が考えられます。
石材の重量と重心を確認し、適切な玉掛け用具や運搬機械を使用することが重要です。石材を不安定な状態で立て掛けないなど、保管方法にも注意が必要です。
石材加工機による切れ・巻き込まれ
石材用切断機、研削盤、グラインダーなどの使用中に、刃へ接触したり、衣服や手袋が回転部分へ巻き込まれたりする危険があります。
保護カバーを取り外したまま使用せず、作業前には砥石のひび、欠け、緩みなどを点検します。
石片の飛来・目への侵入
石材を切断・研磨すると、細かな石片や粉じんが飛散します。保護メガネやフェイスシールドなど、作業に適した保護具の使用が必要です。
石材や工具による腰痛
重量物を人力で持ち上げたり、不自然な姿勢で施工を続けたりすることで、腰や肩を痛める可能性があります。
複数人での運搬や揚重機械の使用を基本とし、無理な人力運搬を避ける必要があります。
墜落・転落
外壁への石張りや高所での補修作業では、足場、脚立、作業床などから墜落する危険があります。
適切な作業床と手すりを設置し、必要に応じて墜落制止用器具を使用します。
石材粉じんの吸入
石材の切断や研磨では、目に見えにくい粉じんが発生します。粉じんを長期間吸い込むと、健康障害につながるおそれがあります。
湿式作業、集じん装置、換気設備などによって粉じんの発生・拡散を抑え、作業内容に適した呼吸用保護具を使用することが重要です。
石工事業の一人親方は労災保険は入れる?
労働者を雇わずに建設事業を行うことを常態とする一人親方は、労災保険の特別加入制度を利用できます。
通常、個人事業主や一人親方は労働基準法上の労働者ではないため、元請会社の労災保険によって当然に補償されるわけではありません。
しかし、石工事では、石材の落下、加工機との接触、墜落、粉じんの吸入など、重大な災害が発生する可能性があります。そのため、万一の事故に備えて一人親方労災保険へ特別加入しておくことが重要です。
特別加入者として認められた業務中や通勤中の災害については、一定の要件のもとで、療養、休業、障害、遺族などに関する労災保険給付の対象になります。
現場で労災保険の加入証明書を求められる理由
建設現場では、安全管理や入場者管理の一環として、一人親方に労災保険の特別加入証明書の提出を求めることがあります。
特別加入は法律上一律に強制される制度ではありませんが、元請会社の方針により、未加入では現場へ入場できない場合があります。
加入手続きには一定の期間がかかることがあるため、仕事が決まってから慌てて手続きするのではなく、継続的に現場へ入る一人親方は早めに準備しておくと安心です。
石工事業の一人親方が安全に働くためのポイント
石工事を安全に行うためには、次の対策が重要です。
- 作業前に石材の重量、形状、重心を確認する
- 石材の運搬や据え付けに適した機械・用具を使う
- 玉掛け用具やワイヤーロープを事前に点検する
- 石材の立て掛けや仮置きを安定した状態で行う
- 切断機やグラインダーの保護カバーを正しく取り付ける
- 保護メガネ、防じんマスク、安全靴などを使用する
- 湿式作業や集じん装置によって粉じんを抑える
- 高所では適切な作業床と墜落防止設備を使用する
- 重量物を一人で無理に持ち上げない
- 作業手順と合図を関係者間で共有する
経験のある職人でも、慣れによる確認不足が事故につながることがあります。作業前の点検と基本動作を省略しないことが重要です。
石工事業によくある質問
- Q石工事業とはどのような仕事ですか?
- A
石材、擬石、石材に類似するコンクリートブロックを加工・積み上げ・取り付けることによって、工作物を築造する仕事です。石積み工事、石張り工事、コンクリートブロック積み・張り工事などが代表例です。
- Q墓石の設置は石工事業に含まれますか?
- A
墓石や記念碑などの石材を現場で組み立て、据え付け、固定する工事は、施工内容によって石工事に該当する可能性があります。ただし、石材の販売や運搬だけでは建設工事に当たらない場合があります。許可の要否は、実際の契約内容と施工方法に基づいて確認する必要があります。
- Q石工事業とタイル工事業の違いは何ですか?
- A
石工事業は、石材や擬石などを加工・積み上げ・取り付ける工事です。タイルを建築物の壁や床へ張り付ける工事は、一般的にタイル・れんが・ブロック工事業に分類されます。
- Q石工事業と造園工事業の違いは何ですか?
- A
庭園全体を計画し、植栽や景石などを一体的に施工する工事は造園工事業に該当する可能性があります。石積みや石張りなどの石材施工を独立して請け負う場合は、石工事業に該当することがあります。
- Q石工事業の許可が必要になる金額はいくらですか?
- A
石工事は建築一式工事以外に該当するため、原則として1件の請負代金が消費税込み500万円以上になる場合に建設業許可が必要です。注文者が材料を提供する場合は、その材料の市場価格や運送費も加えて判断します。
- Q石工事業の一人親方も労災保険へ加入できますか?
- A
労働者を使用せず建設事業を行うことを常態とする一人親方は、一人親方等の特別加入団体を通じて労災保険へ特別加入できます。
- Q元請会社の労災保険で一人親方も補償されますか?
- A
一人親方は原則として労働者ではないため、元請会社の労災保険によって当然に補償されるわけではありません。一人親方として働く場合は、自分自身で特別加入の手続きを行う必要があります。
まとめ
石工事業は、石材、擬石、コンクリートブロックなどを加工・積み上げ・取り付ける専門工事です。
石積み工事、石張り工事、擁壁や法面へのブロック積み・張り工事などが代表例ですが、施工方法によっては、とび・土工工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、造園工事業などに分類される場合があります。
また、石工事では重量物の落下、加工機との接触、墜落、粉じんの吸入などの危険があります。一人親方は元請会社の労災保険で当然に補償されるとは限らないため、一人親方労災保険への特別加入を検討することが重要です。
労災保険は「労働局や労働基準監督署」へ出向いても加入手続きや、業務災害手続きはできません。
厚生労働省・労働局から承認を受けた「特別加入承認団体」から手続きを行い、仕事中の災害から来る経済的損失から身を守りましょう。

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参考資料
大学卒業後、今は無きXEROXで営業力を発揮。コンテスト受賞歴は多数。
37歳の時人生観を変える大きな出来事に会い会社員を辞め起業。IT、建設、金融、海事や伝統工芸など様々な事業を展開し経験を重ねる。
各種業界経営者からのセミナー依頼を多数受け、講師として活躍。厚生労働省承認特別加入団体の運営を開始。
相談者に耳を傾けるため産業カウンセラーの資格を得て労災関連全般の業務を執り行っている。
–自己紹介–
人見知りという概念が欠落しているらしく、初対面でもすぐ仲良くなります。
相手の気持ちに入り込みすぎて疲れちゃうことも多々あり。
人の笑顔が大好物。嫌いなものは、なぜかシイタケ。細かく刻んであっても見つけられる得意技。
趣味は釣り全般・ギター・ガーデニング・料理・DIY・車・喫茶店回り、船の操船などなど。
多趣味すぎて時々自分でも困ることあり。
釣りに関しては遊漁船経営までしてしまったという変な人です。
座右の銘は「失敗は行動している証」
失敗した人を「ほら見たことか!」という人ほど何もしてないですよね。
