ガラス工事業とは、工作物にガラスを加工して取り付ける建設業の専門工事です。 国土交通省が示す建設工事の例では、「ガラス加工取付け工事」と「ガラスフィルム工事」がガラス工事に含まれています。

ガラス工事というと、戸建住宅の割れた窓ガラスを交換する仕事をイメージする方もいるでしょう。

しかし、建設業におけるガラス工事は、単なる窓ガラスの交換だけではありません。

住宅、マンション、ビル、店舗など、さまざまな建築物でガラスを加工・取り付ける仕事があります。また、既存のガラス面にフィルムを施工するガラスフィルム工事も、国土交通省が示すガラス工事の例に含まれています。

ガラス職人

ガラス工事の職人として経験を積み、会社に雇用されるのではなく、一人親方や個人事業主として現場で仕事をする人もいます。

この記事では、ガラス工事業とはどのような建設業なのかを中心に、工事の種類、仕事内容、施工の流れ、建具工事との違い、建設業許可、ガラス工事の一人親方と労災保険について、職人にも企業担当者にもわかりやすく解説します。

ガラス工事業とは?

ガラス工事業とは、ガラスを工作物に加工して取り付ける工事を行う建設業です。

建設業法では建設工事が29種類に区分されており、ガラス工事は専門工事の一つです。

国土交通省が示す建設業許可の業種区分では、ガラス工事について「工作物にガラスを加工して取付ける工事」とされています。

工事例として示されているのは、次の2つです。

  • ガラス加工取付け工事
  • ガラスフィルム工事

つまり、建設業法上のガラス工事業を理解するときは、住宅の「窓ガラス交換」だけで考えるのではなく、工作物へのガラスの加工・取付けやガラスフィルム施工を含む専門工事として捉えることがポイントです。

ガラス工事業の基本情報

ガラス工事業について重要な情報を整理すると、次のようになります。

項目内容
建設業法上の工事ガラス工事
建設業の業種ガラス工事業
分類専門工事
工事の内容工作物にガラスを加工して取り付ける工事
国土交通省が示す工事例ガラス加工取付け工事、ガラスフィルム工事
主な施工対象建築物などのガラス部分
主な作業寸法確認、加工、搬入、取付け、仕上がり確認など
一人親方ガラス工事に従事する一人親方もいる
労災保険一定の要件を満たす建設業の一人親方等は特別加入の対象

このように整理すると、ガラス工事業は「ガラスを売る仕事」ではなく、建築物などにガラスを施工する建設工事であることがわかります。

ガラス工事はどこで行われる?

ガラスは、住宅から大規模な建築物まで幅広い場所で使用されています。

そのため、ガラス工事の施工場所もさまざまです。

たとえば、工事内容によって次のような建築物や箇所が対象となります。

  • 戸建住宅
  • マンション
  • ビル
  • 店舗
  • オフィス
  • 建物の窓・開口部
  • 店舗などのガラス面
  • その他、ガラスが使用される工作物

ただし、施工するガラスの種類や大きさ、建物の構造、取付方法などは現場によって異なります。

ガラスは破損する可能性がある材料でもあるため、搬入から取付けまで慎重な作業が必要です。

ガラス工事にはどんな種類がある?

国土交通省が示すガラス工事の具体例は、「ガラス加工取付け工事」と「ガラスフィルム工事」です。

それぞれどのような工事なのか見ていきましょう。

ガラス工事種類

ガラス加工取付け工事とは?

ガラス加工取付け工事とは、建築物などに使用するガラスを必要に応じて加工し、所定の場所へ取り付ける工事です。

建物の設計や施工箇所に合わせて、適切な寸法・仕様のガラスを施工します。

新築工事だけでなく、改修などでガラスを取り扱う場合もあります。

ガラスは寸法や仕様を正確に確認する必要があるため、施工前の確認が重要です。

また、大きなガラスや重量のあるガラスを扱う現場では、運搬・揚重・取付け方法などについても適切な計画が必要になります。

ガラスフィルム工事とは?

ガラスフィルム工事とは、既存のガラス面などに専用のフィルムを施工する工事で、国土交通省が示す建設業の業種区分ではガラス工事の例に含まれています。

使用するフィルムには製品によってさまざまな機能があります。

そのため、施工する際には製品の仕様や施工方法を確認し、適切に貼り付ける必要があります。

「ガラスそのものを取り付けないからガラス工事ではない」と思われることがありますが、建設業許可の業種区分ではガラスフィルム工事もガラス工事として例示されていることを覚えておくとよいでしょう。

建物の窓・開口部などのガラス工事

住宅やマンション、ビルなどでは、窓や開口部などにガラスが使用されています。

ガラス工事の職人は、施工箇所や仕様に合わせてガラスを取り扱い、所定の位置へ施工します。

現場によってはサッシなどの建具とガラスが組み合わされるため、他業種との連携も必要です。

この点が、後述する「ガラス工事業」と「建具工事業」の違いを理解するポイントになります。

ガラス工事業の仕事内容は?基本的な施工の流れ

ガラス工事の具体的な工程は、施工対象、ガラスの種類、大きさ、取付方法などによって異なります。

一般的には、施工箇所・仕様の確認→寸法確認→ガラスの準備・加工→搬入→取付け→仕上がり確認という流れで進められます。

ガラス工事工程

1.施工箇所と仕様を確認する

まず、どこにどのようなガラスを施工するのか確認します。

図面や仕様書などがある場合は、それらと施工箇所を照合します。

ガラスの種類や寸法、厚さなどを間違えると適切に取り付けられないため、施工前の確認が重要です。

2.寸法を確認する

施工する場所の寸法や、取り付けるガラスの寸法を確認します。

ガラス工事では、正確な寸法確認が施工品質に直結します。

改修や交換工事の場合も、既存部分の状態を確認しながら必要な寸法を把握します。

3.ガラスを準備・加工する

施工仕様に合わせてガラスを準備します。

必要な加工内容は工事によって異なります。

ガラスの加工には専用の知識・技術・設備が必要になる場合があり、製品や施工条件に応じた適切な取扱いが求められます。

4.現場へ搬入して取り付ける

ガラスを施工場所へ搬入し、所定の位置に取り付けます。

特に大型・重量のあるガラスでは、搬入経路や作業方法を事前に確認することが重要です。

現場の状況によっては複数人での作業や機械・器具を使用した作業になる場合もあります。

5.施工状態を確認する

取付け後は、ガラスの位置や仕上がり、周辺部分などを確認します。

ガラス工事は見た目だけではなく、安全性にも関係するため、施工仕様に従って適切に取り付けることが重要です。

ガラス工事業と建具工事業の違いは?

ガラス工事業と建具工事業は、建設業法では別々の専門工事として区分されています。

ガラス工事は、工作物にガラスを加工して取り付ける工事です。

一方、建具工事は、工作物に木製または金属製の建具などを取り付ける工事とされています。

国土交通省が示す建具工事の例には、金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、木製建具取付け工事などがあります。

たとえば窓まわりでは、サッシとガラスが組み合わされているため、一般の方には同じ工事のように見えることがあります。

しかし、建設業法上では、

ガラスを加工して取り付ける工事 → ガラス工事

サッシなどの建具を取り付ける工事 → 建具工事

という違いがあります。

実際の許可業種を判断するときは、工事名だけではなく具体的な施工内容を確認することが重要です。

ガラス工事業に建設業許可は必要?

ガラス工事業は建設業許可29業種の一つであり、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除いて、建設業許可が必要です。

国土交通省によると、建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、29種類の建設工事ごとに許可を受ける必要があります。

建築一式工事以外については、工事1件の請負代金が500万円未満の工事が「軽微な建設工事」の基準とされています。

したがって、ガラス工事を行う一人親方や個人事業主でも、請け負う工事の内容・金額によってはガラス工事業の建設業許可が必要になります。

「一人親方だから許可が不要」という制度ではありません。

なお、建設業法や許可制度は改正される場合があります。実際に建設業許可の要否を判断する際は、国土交通省や許可行政庁が公開している最新情報を確認してください。

ガラス工事業で働く一人親方とは?

ガラス工事の一人親方とは、ガラス工事などの建設事業において、労働者を使用しないことを常態として、自ら現場で仕事をする個人事業主などを指して使われます。

ガラス工事では、会社に雇用されて施工する職人だけでなく、独立して一人親方として仕事をする人もいます。

元請会社や専門工事会社などから工事を請け、自らガラスの取付けなどを行う働き方です。

ただし、契約書に「請負」「業務委託」「一人親方」と記載されているだけで、法律上の扱いが必ず決まるわけではありません。

実際の働き方によって労働者性が問題になる場合があるため、契約名称だけでなく、就労実態を踏まえて確認することが重要です。

ガラス工事の一人親方は労災保険に加入できる?

ガラス工事に従事する建設業の一人親方等は、一定の要件を満たす場合、労災保険の特別加入制度を利用できます。

労災保険は、本来、労働者の業務上または通勤による災害などに対して保険給付を行う制度です。

一人親方や自営業者などは、労働者に該当しない場合、原則として通常の労災保険の対象にはなりません。

しかし、業務の実態や災害の発生状況などから、労働者に準じて保護することが適当と考えられる一定の人については、特別に労災保険へ加入できる制度があります。

これが労災保険の特別加入制度です。

厚生労働省は、一人親方等が特別加入できる事業の一つとして「建設の事業」を示しています。

そのため、ガラス工事の一人親方も、実際の働き方などが要件に該当すれば、建設業の一人親方等として労災保険の特別加入を検討できます。

ガラス工事で注意したい作業中の事故

ガラス工事では、ガラスという破損する可能性のある材料を扱います。

また、窓や外壁などの施工場所によっては、高い場所での作業になることもあります。

現場によっては、たとえば次のような事故・危険に注意が必要です。

  • ガラスの破損による切創
  • ガラスや資材の運搬中の負傷
  • 重量物の取扱いによる負傷
  • 足場などからの墜落・転落
  • 作業場所での転倒
  • 工具や機械を使用する際の負傷
  • 搬入・移動中の事故

特に大型ガラスなどを扱う場合は、一人で無理に持ち上げたり運んだりせず、現場条件に応じた作業方法を検討する必要があります。

一人親方の場合、自分自身が施工者であると同時に、自ら安全を意識して作業する立場でもあります。

現場の安全ルールを守り、必要な保護具や適切な器具を使用するなど、作業内容に応じた安全対策が重要です。

ガラス工事業についてよくある質問

Q
ガラス工事業とは簡単にいうと何ですか?
A

ガラス工事業とは、工作物にガラスを加工して取り付ける建設業の専門工事です。

国土交通省が示す工事例には、ガラス加工取付け工事とガラスフィルム工事があります。

Q
ガラス工事は建設業29業種の一つですか?
A

はい。ガラス工事は、建設業許可で区分される29種類の建設工事の一つです。

建設業許可では「ガラス工事業」として扱われます。

Q
ガラスフィルム工事はガラス工事業ですか?
A

はい。

国土交通省が示す建設工事の例では、ガラスフィルム工事は「ガラス工事」に含まれています。

Q
窓ガラス交換はガラス工事ですか?
A

工作物にガラスを加工して取り付ける工事は、ガラス工事に該当します。

ただし、実際の工事がどの許可業種に該当するか判断する場合は、契約名だけでなく具体的な施工内容を確認する必要があります。

Q
ガラス工事と建具工事は同じですか?
A

同じではありません。

ガラス工事は工作物にガラスを加工して取り付ける工事で、建具工事はサッシなどの木製・金属製建具等を取り付ける工事です。建設業法では別の業種に区分されています。

Q
ガラス工事業に建設業許可は必要ですか?
A

軽微な建設工事のみを請け負う場合を除いて、建設業許可が必要です。

建築一式工事以外では、工事1件の請負代金が500万円未満であることが軽微な建設工事の基準です。実際の許可要否は最新の行政情報を確認してください。

Q
ガラス工事の一人親方は労災保険に入れますか?
A

一定の要件を満たす建設業の一人親方等は、労災保険へ特別加入できます。

ガラス工事に従事する一人親方についても、実際の働き方などが要件に該当する場合は対象となります。

Q
一人親方なら自動的に労災保険が適用されますか?
A

いいえ。

労働者ではない一人親方等が労災保険の対象となるためには、特別加入の対象となることを確認したうえで、所定の加入手続きが必要です。

まとめ ガラス工事業はガラスの加工・取付けを行う専門工事

ガラス工事業とは、工作物にガラスを加工して取り付ける建設業の専門工事です。

国土交通省が示す具体例には、「ガラス加工取付け工事」と「ガラスフィルム工事」があります。

ガラス職人の仕事は、単にガラスをはめ込むだけではありません。施工箇所や仕様の確認、寸法確認、ガラスの準備・加工、搬入、取付け、施工状態の確認など、それぞれの工程で専門的な知識や技術が必要です。

また、窓まわりではサッシなどを扱う建具工事と関係する場合がありますが、建設業法ではガラス工事と建具工事は別の専門工事として区分されています。

ガラス職人として独立し、一人親方として仕事をする場合には、施工技術だけでなく、建設業許可や安全対策について理解することも重要です。

さらに、建設業の一人親方等は一定の要件を満たす場合、労災保険の特別加入制度を利用できます。

ガラス工事業で仕事を続けていくためにも、自分が請け負う工事の内容や働き方を把握し、必要となる許可・保険・安全対策を確認しておきましょう。

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