業務災害(労災事故による被災など)に遭い、治療等のため仕事ができない状態になった時、一人親方やその家族の生活費はだれが補償してくれるのでしょうか?
会社に雇用されている方は、健康保険から「傷病手当」もしくは労災保険から「休業補償」が給付されますが、一人親方は、健康保険からの「傷病手当」は基本支払われず、労災保険は特別加入していなければ「休業補償」もありません。
会社の社長や役員と同じく何の補償もありませんから、自ら率先して補償給付を利用しなければ、仕事ができない状態になっている期間の「収入」は一切なくなります。
ですから、政府からの補償が受けられる、特別加入の労災保険は必須加入ともいえるでしょう。
休業(補償)給付とは?
業務災害によって働けなくなったときに、働けない期間の収入を補償する制度です。
通常の労働者と同様に、一人親方の特別加入者も対象になります。業務災害、または通勤災害による傷病の治療のため仕事をすることができず、賃金を受け取れないときに支給されます。

仕事ができない期間はお金が入ってこないだけでなく、病院代も払わないといけないし…どうしようもなくなるよね

はい。一人親方は会社であれば社長さんと同じ立場ですから、会社員と違って守ってくれる人はいません。自分の身は自分で守らなければなりません。

なんか一人親方って辛いよね…誰も守ってくれないんだから

お気持ちわかります。では、組織に時間で拘束されて、指示どおり動き、自分の力量で報酬が変わることもない。自分より働いていないのに、給料は同じ、定年後は仕事も再度探さないといけない、など何とも思わなければ雇用された方が良いかもしれません。

そんなの嫌だから今の働き方にしたんだよ。自分の力量で報酬を取りたいしね。時間に拘束されて指示通りなんてヤダ。自分のやり方でやりたいし。

そうですよね。ある意味、会社員の方は辛いかもしれませんよ。同僚って言っても友達でもないですしね。その代わり、会社が守ってくれているということを忘れがちです。一人親方は自由の代償として、すべて自分が責任を取らなければなりません。

でもさ、少しぐらいは政府も守ってくれてもいいんじゃない?労働者ではないと言っても、実際は働かなければならないんだから。

守ってくれていないんじゃなく、守り方も自由選択になっているだけですよ。会社員は「強制加入」なので嫌でも保険に入らなければならない。一人親方は「任意加入」なので、自分の自由意思で加入するかどうか決められるっていうだけのことです。ここも、社長と一緒で「自分で考え決断する」しかないんです。政府はきちんと準備はしてくれています。

そうだった。自分の自由意思だから自分で決めなくちゃね。強制されるのが嫌で一人親方になっているんだからね。

そうですね。指揮命令下にあっても辛くなければ雇用されるのもありだし、それが嫌で自由に働きたいなら一人親方でしょう。どちらかが良いということは無いでしょうね。
対象となる条件
次の3つすべてを満たすと、給付の対象になります
- 業務災害または通勤災害であること
- 療養のため就業不能であること(医師の証明が必要)
- 実際に収入が得られていないこと(休業状態)
ここで注意していただきたいのは、「仕事ができない状態」を判断するのは誰か?です。
それは、当団体のような特別加入承認団体でもなく、管轄の労働基準監督署や厚生労働省労働局でもありません。
むろん、一人親方本人が仕事ができないことを証明することはできません。
仕事ができない状態状態を判断するのは「医師免許をもった医者」です。
医者とは、国家資格である医師免許を有する者です。
自分は仕事ができない状態なんだ!と主張しても、医者ができる状態であると判断した場合は「仕事ができる状態」となってしまいます。
では、労働基準監督署や労働局は何をするのでしょう?
特別加入承認団体が作成した「休業補償用の書類」に対し、医者が休業が必要であるとの証明欄に署名し、署名された書類に基づき、その状態を精査し、判定を下します。
ですから、医者が「労働ができない状態」としても、労働基準監督署、労働局が「労働できる状態です」となると、医者の判断を取り消すことが可能です。
これは、厳しい?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、残念ながら「不正」があるのも事実。
あくまで「不正」を取り締まる「政府の姿勢」と考えていただければ理解できるかと思います。
一人親方の皆様が納めている保険料は、労災保険料という名の「税金」ですから、不正に税金を使われてはいけないという事です。
さて
話を戻しますが、この休業給付制度は「仕事ができない状態のときには、政府が賃金を補償し給付します」という制度なのです。
休業補償給付の内容
休業(補償)給付には、初日から3日の3日間の待期期間(免責期間)が設定されています。
ですから、給付の計算となるのは、休業4日目からとなります。
算定となる額(算出するための基準となる額)は、ご加入時に自ら決めた「基礎日額」を基に、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額を計算し支給されます。
例)
給付基礎日額6,000円型での加入の場合
6,000円×60%=3,600円/日
30日休業
30日−3日=27日(休業期間)
支給額計算
3,600円×27日=97,200円支給
このように計算していきます。
休業特別支給金の内容
休業補償給付と同じく、ご加入時に自ら決めた「基礎日額」を基に、休業日4日目から休業1日につき給付基礎日額の20%相当額を支給します。
こちらも、労働ができない状態であると認められた場合に給付されます。
例)
給付基礎日額6,000円型での加入の場合
6,000円×20%=1,200円/日
30日休業
30日−3日=27日(休業期間)
1,200円×27日=32,400円支給
このように計算していきます。
給付合計額
休業(補償)給付に関しては、通常の保険給付と休業特別支給金とで支給されるのが普通です。ですから、上記の金額を参考にして計算すると
97,200円+32,400円=129,600円(27日分)
となります。
簡易計算としては
休業給付が60%
休業特別支給金が20%
合わせて80%ですから
第1回目の休業(補償)給付計算としては
基礎日額×80%×(休業日数-3日)
第2回目からの給付計算は
基礎日額×80%×(休業日数)
この休業補償給付金は「非課税所得」となるため、確定申告時に、収入や所得へ計上する必要がありません。
第1回目と第2回目とあるのは、加入者本人からの休業補償給付の申請がなければ、特別加入承認団体も休業状態である「日数」がわかりません。
まず休業の申請は必ずおこなうこと、そして、休業に際しての「締日」を必ず覚えておくことが大事です。
例えば、締日を毎月月末で行う、2カ月ごとの末日、3カ月ごとの末日など、申請は本人の自由意思でできるため、ご自分で締日を決めて、申請を行いましょう。
※未来においての日数(1カ月先も入院なので、申請しておこう)は対応できませんのでご注意ください。
休業(補償)給付のまとめ
一人親方は、会社の社長などと同じく、政府からの補償がありません。
会社員のように、労災保険は会社が全額負担してくれて、業務災害時には休業補償ももらえる、書類も会社がやってくれる、ということはありません。
一人親方は、常にアンテナを高くし、利用できる制度は利用する、という気持ちが大事です。特に、生活を補償するものに関してはなおさらです。
特別加入の労災保険も、政府の制度で、一人親方の「権利」ですから、利用し、政府からの補償を手に入れていきましょう。

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大学卒業後、今は無きXEROXで営業力を発揮。コンテスト受賞歴は多数。
37歳の時人生観を変える大きな出来事に会い会社員を辞め起業。IT、建設、金融、海事や伝統工芸など様々な事業を展開し経験を重ねる。
各種業界経営者からのセミナー依頼を多数受け、講師として活躍。厚生労働省承認特別加入団体の運営を開始。
相談者に耳を傾けるため産業カウンセラーの資格を得て労災関連全般の業務を執り行っている。
–自己紹介–
人見知りという概念が欠落しているらしく、初対面でもすぐ仲良くなります。
相手の気持ちに入り込みすぎて疲れちゃうことも多々あり。
人の笑顔が大好物。嫌いなものは、なぜかシイタケ。細かく刻んであっても見つけられる得意技。
趣味は釣り全般・ギター・ガーデニング・料理・DIY・車・喫茶店回り、船の操船などなど。
多趣味すぎて時々自分でも困ることあり。
釣りに関しては遊漁船経営までしてしまったという変な人です。
座右の銘は「失敗は行動している証」
失敗した人を「ほら見たことか!」という人ほど何もしてないですよね。