遺族補償給付

遺族補償給付とは、業務災害、または通勤災害より被保険者が死亡した場合に給付される補償の事です。
一人親方の労災保険に加入している一人親方が、労働(業務)を起因とする災害で死亡したと認められた時に、残されたご遺族の方へ給される仕組みです。

遺族補償給付には

〇遺族(補償)一時金

〇遺族(補償)年金

のどちらかが支給されます。

年金の場合の支給額は、残されたご遺族の人数により金額が変わります。

また、ここで言う「受給資格者」は少し複雑なので、別の章でご説明いたします。

遺族(補償)一時金の方はこちら

①遺族(補償)年金の受給資格を持つ遺族がいない場合。

以下の補償給付が一時金として支給されます。

こちらの支給金額は、給付基礎日額の1,000日分となります。
計算式は以下の通りです。

例)給付基礎日額が「3,500円型」の場合
3,500円×1,000日=3,500,000円

受給資格者を持っていないご遺族へ、3,500,000円が一時金として支給されます。

②遺族(補償)年金を受けている方が失権し(権利を失う事)、かつ、他に遺族(補償)年金の受給資格を持つ方がいない場合で、すでに支給された年金の合計金額が給付基礎日額の1,000日分に満たない場合。

以下の補償給付が一時金として支給されます。

給付基礎日額の1,000日分から「すでに支給した年金の合計金額を差し引いた金額」となります。
つまり、年金として遺族補償給付の支給を受けていたが、年金給付の受給権が失権した時は、一時金として支給して終了となりますという事です。そして、今まで受給していた年金金額から一時金支給金額は差し引きますという事です。

例1)給付基礎日額が「3,500円型」でかつ、年金受給合計額が535,500円受け取っていた場合
3,500円×1,000日-535,500円=2,964,500円

年金から一時金へ移行されたご遺族の方に、2,964,500円が一時金として支給されます。

例2)給付基礎日額が「3,500円型」でかつ、年金受給合計額が4,287,500円受け取っていた場合
3,500円×1,000日-4,287,500円=-787,500円

既に受け取っていた年金額が、3,500,000円を超えていますので、一時金として受け取れる金額はありません。

遺族(補償)年金の方はこちら

遺族(補償)年金は、被保険者の一人親方のご遺族で受給資格を持つ方の「人数」により支給される金額が異なります。

■遺族が一人の場合
給付基礎日額の153日分、または175日分
※175日分になる方は、ご遺族が55歳以上または一定の障害状態にある「妻」の場合となります。

例)給付基礎日額が「3,500円型」で153日分と認定された場合
3,500円×153日=535,500円/年
2ヵ月に1回の支給となりますので
535,000円÷6ヵ月=89,250円/2ヵ月

2ヵ月に1回、89,250円が年金として支給されます。
また、遺族が年金受給資格者であり続ける限り、継続して支給されます。

■遺族が二人の場合
給付基礎日額の201日分

例)給付基礎日額が「3,500円型」で201日
3,500円×201日=703,500円/年
2ヵ月に1回の支給となりますので
703,500円÷6ヵ月=117,250円/2ヵ月

2ヵ月に1回、117,250円が年金として支給されます。
また、遺族が年金受給資格者であり続ける限り、継続して支給されます。

■遺族が三人の場合
給付基礎日額の223日分

例)給付基礎日額が「3,500円型」で223日
3,500円×223日=780,500円/年
2ヵ月に1回の支給となりますので
780,500円÷6ヵ月=130,083円/2ヵ月

2ヵ月に1回、130,083円が年金として支給されます。
また、遺族が年金受給資格者であり続ける限り、継続して支給されます。

■遺族が四人以上の場合
給付基礎日額の245日分

例)給付基礎日額が「3,500円型」で245日
3,500円×245日=857,500円/年
2ヵ月に1回の支給となりますので
857,500円÷6ヵ月=142,916円/2ヵ月

2ヵ月に1回、142,916円が年金として支給されます。
また、遺族が年金受給資格者であり続ける限り、継続して支給されます。

特別支給金

特別支給金とは、遺族(補償)年金や遺族(補償)一時金とは別に支給される補償金の事で、遺族の人数や給付基礎日額に関係なく「300万円」が一時金として支給されます。

遺族(補償)年金+3,000,000円(一時金)

遺族(補償)一時金+3,000,000円(一時金)

となります。あくまでも「一時金」ですので、一回の支給で終了となります。

遺族(補償)給付のまとめ

一人親方の労災保険に加入していれば、自分だけでなくご遺族の補償も付いてくるという事です。

これだけ業務災害に手厚い「補償」の保険は国の保険だからこそできる内容でしょう。

工事現場へ入る際に必要な「一人親方の労災保険」ですが、元請け様や仕事仲間を守るだけでなく、自分の遺族(家族)も守ることができる、特別加入制度の労働災害補償保険。必ず加入しておきましょう。