令和8年(2026年)7月15日から17日までの3日間、東京ビッグサイトにおいて「第12回 東京 猛暑対策展」と「第13回 東京 労働安全衛生展」が開催されました。

私たちは、建設業で働く一人親方や個人事業主の労災保険特別加入を取り扱う団体として、現場で働く方々の安全と健康を守るための最新技術や製品を確認するため、今回の展示会を見学してきました。

建設現場における猛暑対策は、単に作業員が快適に働くためのものではありません。熱中症による体調不良や判断力の低下は、転倒、墜落、重機との接触など、別の労働災害につながる可能性もあります。

また、安全衛生対策についても、「事故が起きた後に対応する」という考え方から、身体の変化や現場の危険を早期に把握し、事故を未然に防ぐ方向へ大きく進化しています。

今回の展示会では、身に着ける冷却製品、作業場所そのものを冷やす設備、暑さ指数を管理するシステム、作業者の健康状態を確認するウェアラブル端末、身体的な負担を軽減するアシストスーツなど、さまざまな製品・サービスが紹介されていました。

この記事では、展示会の開催概要と会場で確認した猛暑対策・労働安全衛生の傾向を紹介するとともに、建設事業者や一人親方が今後どのような安全対策を考えていくべきか、私たちなりの視点からお伝えします。

※会場内は、写真・動画撮影は禁止だったため、メディア等は一切取得できませんでした。

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この記事でわかること

  • 第12回 東京 猛暑対策展の開催概要
  • 第13回 東京 労働安全衛生展の特徴
  • 最新の熱中症対策製品・サービスの傾向
  • 建設現場で必要とされる猛暑対策
  • デジタル技術を活用した新しい安全管理
  • 一人親方にも安全対策が重要である理由
  • 安全対策と労災保険の関係

第12回 東京 猛暑対策展・第13回 東京 労働安全衛生展とは

「第12回 東京 猛暑対策展」と「第13回 東京 労働安全衛生展」は、一般社団法人日本能率協会が主催する、安全で健康的な職場環境づくりに関する専門展示会です。

2026年は7月15日から17日までの3日間、東京ビッグサイトの東7・8ホールで開催されました。

展示会の開催概要

項目内容
展示会名
第12回 東京 猛暑対策展/第13回 東京 労働安全衛生展
開催期間2026年7月15日(水)~17日(金)
開催時間10時~17時
会場東京ビッグサイト 東7・8ホール
主催一般社団法人日本能率協会
同時開催騒音・振動対策展、東京 におい対策展など

猛暑対策展は、暑熱環境で働く人を守る製品やサービスを実際に確認できる体感型の専門展示会です。

主催者の開催案内によると、2026年の猛暑対策展は189社・376ブースという過去最大規模で計画され、身に着ける冷却用品だけでなく、飲料・食品、設備、環境測定、遠隔管理など、幅広い対策が集まりました。

さらに、会場内外には「暑い中で体感するエリア」が初めて設けられ、実際の暑熱環境に近い状況で製品の効果や使用感を確認できる企画も用意されました。
一般社団法人日本能率協会の開催案内

猛暑対策展で紹介される分野

猛暑対策展では、主に次のような分野の製品やサービスが紹介されていました。

  • 冷却ベストやファン付きウェア
  • 首・頭・腕などを冷却する装着型製品
  • 塩分・水分補給食品
  • アイススラリーなどの暑熱対策飲料
  • 大型冷風機やミスト発生装置
  • 屋根や建物の遮熱対策
  • WBGTを測定・管理するシステム
  • 作業員の体調を確認するウェアラブル端末
  • 休憩所や作業空間を冷やす設備

一口に熱中症対策といっても、「身体を冷やす」「作業環境を改善する」「体調の異変を早く発見する」「適切に休憩を取る」など、複数の対策を組み合わせる必要があることが分かります。

労働安全衛生展で紹介される分野

労働安全衛生展では、作業中の事故や身体的負担を減らすための幅広い技術が紹介されていました。

身体の負担を軽減する製品

重量物の運搬や中腰作業、腕を上げた状態での作業は、腰、肩、膝などに大きな負担をかけます。

展示会では、中腰作業や歩行、上腕を使う作業を補助するアシストスーツなども紹介されていました。こうした製品は、作業者の疲労を軽減するだけでなく、疲労の蓄積による注意力低下や転倒事故を防ぐという観点でも注目できます。

AI・センサーを活用した安全管理

作業者がスマートウォッチやアームバンドを装着し、心拍数などの情報を管理画面に反映する仕組みや、暑さ指数を可視化して空調設備の制御につなげるシステムなども展示されていました。

これまでの安全管理は、作業前の健康確認や管理者による声掛けが中心でした。しかし、作業者本人が不調に気づいていない場合や、周囲から異変が分かりにくい場合もあります。

センサーやデジタル技術は、人による確認を置き換えるものではありませんが、見落としを減らすための補助手段として今後さらに活用が進むと考えられます。
公式Webガイド・出展製品情報

展示会を視察して感じた3つの変化

今回の展示会を通じて、猛暑対策と労働安全衛生対策には、大きく3つの変化が起きていると感じました。

対策が「個人任せ」ではなくなっている

以前は、暑ければ水分を取る、無理をしない、体調が悪ければ申し出るといった、作業者本人の判断に依存する対策が少なくありませんでした。

しかし、体調が悪化している最中には、本人の判断力も低下する可能性があります。「本人が大丈夫と言っているから大丈夫」とは限りません。

現在は、作業環境の温度やWBGTを測定し、休憩のタイミングを決める、管理者と作業者が情報を共有するなど、組織として安全を管理する方向へ変化しています。

一人親方にも必要なセルフマネジメント

一人親方の場合、会社員のように常に体調を確認してくれる管理者がいるとは限りません。そのため、自分自身で作業を中断する基準を決めておくことが重要です。

「この作業を終えるまでは休めない」「予定どおりに進めたい」という気持ちが、結果として無理につながることがあります。

WBGT計、スマートウォッチ、休憩時間を知らせるアラームなど、導入しやすい製品から活用することも有効です。

身に着ける対策から現場全体の対策へ広がっている

ファン付きウェアや冷却ベストは、建設現場でも広く使われるようになりました。しかし、気温が極めて高い環境では、ファンによって取り込む空気自体が熱くなり、期待した効果を得にくいことも考えられます。

そのため、個人用の冷却用品だけでなく、次のような対策を組み合わせる必要があります。

  • 直射日光を避けられる休憩場所を設ける
  • 冷房設備のある休憩所を確保する
  • 大型冷風機やミストを使用する
  • 屋根や壁に遮熱対策を施す
  • 作業時間帯や作業工程を見直す
  • 水分と塩分を補給できる環境を整える
  • 緊急時の連絡方法と搬送手順を共有する

道具を配るだけでは安全対策は完了しない

冷却用品を配布しても、充電されていない、予備バッテリーがない、手入れがされていない、作業内容に合っていないという状態では、十分な効果は期待できません。

製品を導入する際は、使用方法、保守管理、交換時期、使用を中止する条件まで決めておくことが大切です。

安全対策は「製品を購入した時点」で完了するのではなく、現場で継続的に正しく使用されて初めて機能します。

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事故発生後の対応から予防へ進んでいる

労働災害が発生した場合に備えることは重要です。しかし、それ以上に大切なのは、事故を起こさない環境をつくることです。

作業者の身体的負担を可視化するセンサー、危険な場所への接近を知らせる装置、フォークリフトなどとの接触を防ぐ防護設備、AIを活用した情報管理など、展示会では事故の予兆を捉えるための技術が数多く確認できました。

これは、安全衛生対策が「事故が起きた後の記録」から「事故が起きる前の予測と予防」へ進んでいることを示しています。

建設現場では猛暑が別の労働災害を引き起こす

熱中症というと、脱水症状や意識障害が中心に考えられがちです。しかし、建設現場では暑さによる疲労や集中力の低下が、別の事故につながる危険があります。

暑さによって高まる可能性がある危険

  • 足元への注意が低下して転倒する
  • 高所作業中にふらつく
  • 工具や資材を落とす
  • 重機や車両への反応が遅れる
  • 合図や指示を聞き間違える
  • 普段なら行わない危険な行動を取る
  • 作業終了を急いで安全確認を省略する

つまり、猛暑対策は熱中症だけを防ぐものではありません。墜落・転落、転倒、飛来・落下、重機との接触など、建設現場における重大な労働災害を防ぐための基本的な対策でもあります。

経験豊富な人ほど無理をする場合もある

長年現場で働いてきた方ほど、「これくらいの暑さなら大丈夫」「昔はもっと厳しい環境で働いていた」と考えることがあります。

しかし、その日の気温、湿度、体調、睡眠、服薬、作業内容などによって身体への負担は変わります。経験が豊富であることと、熱中症にならないことは同じではありません。

ベテラン、新人、従業員、一人親方という立場にかかわらず、客観的な基準で作業の中断や休憩を判断する必要があります。

一人親方にとって安全対策と労災保険が重要な理由

一人親方は、現場で高い技術力を発揮する事業者である一方、業務中に負傷すると、自分自身の収入や事業継続に直接影響します。

会社員であれば原則として勤務先を通じて労災保険の対象になりますが、一人親方は労働者と同じ方法で自動的に労災保険が適用されるとは限りません。

そのため、建設業の一人親方については、国の労災保険へ任意で加入できる「特別加入制度」が設けられています。

安全対策と労災保険はどちらも必要

安全用品や安全管理設備を導入しても、事故の可能性を完全にゼロにすることはできません。一方、労災保険に加入しているからといって、安全対策を省略してよいわけでもありません。

両者の関係は、次のように整理できます。

事故を防ぐための安全対策

  • 作業手順の確認
  • 保護具の使用
  • 熱中症対策
  • 健康状態の確認
  • 作業環境の改善
  • 危険箇所の共有

万一の事故に備える労災保険

  • 業務中や通勤中の負傷などへの備え
  • 治療が必要になった場合への備え
  • 働けない期間が生じた場合への備え
  • 障害が残った場合への備え
  • 死亡災害となった場合の遺族への備え

「事故を起こさないための対策」と「事故が起きた場合の備え」の両方を整えることが、本人と家族、そして事業を守ることにつながります。

今回の視察を今後の活動に生かしていきます

今回の「猛暑対策展」「労働安全衛生展」では、現場の安全を支える技術が想像以上の速さで進化していることを確認できました。

特に印象的だったのは、猛暑対策が単なる冷却用品の導入にとどまらず、作業環境、健康管理、作業計画、緊急時対応を含む総合的な安全管理へ広がっている点です。

優れた製品を導入することは大切ですが、製品だけで全ての問題が解決するわけではありません。現場の状況、作業内容、人数、年齢、体調などを踏まえ、複数の対策を組み合わせる必要があります。

私たちも今回の見学で得た情報を、一人親方や建設事業者の皆さまへの情報提供に生かしてまいります。

第12回 東京 猛暑対策展・第13回 東京 労働安全衛生展に関するよくある質問

Q
猛暑対策展とはどのような展示会ですか?
A

猛暑対策展は、暑熱環境や熱中症への対策に関する製品・サービスを集めた専門展示会です。冷却ウェア、飲料、冷風機、ミスト、遮熱設備、WBGT管理システム、ウェアラブル端末など、個人向けから事業者向けまで幅広い対策が紹介されます。

Q
労働安全衛生展では何が紹介されていますか?
A

作業者の安全と健康を守るための製品やシステムが紹介されています。保護具、アシストスーツ、健康管理機器、AI・センサーを利用した安全管理、接触事故防止設備、安全教育サービスなどが主な分野です。

Q
一人親方にも熱中症対策は必要ですか?
A

必要です。一人親方は、体調の変化を確認してくれる管理者が常にそばにいるとは限りません。水分・塩分補給、定期的な休憩、WBGTの確認、冷却用品の使用、緊急連絡方法の確保など、自分自身を守るための対策が重要です。

Q
ファン付きウェアだけで熱中症を防げますか?
A

ファン付きウェアは有効な対策の一つですが、それだけで全ての熱中症を防げるとは限りません。気温や湿度、作業強度、使用環境を考慮し、休憩、水分・塩分補給、日陰や冷房設備の確保などと組み合わせる必要があります。

Q
一人親方は労災保険に加入できますか?
A

建設業に従事する一人親方は、一定の要件を満たした一人親方団体を通じて、国の労災保険へ特別加入できます。実際の業務内容によって加入区分が異なる可能性があるため、申し込み前に業務内容を正確に確認することが大切です。

まとめ 猛暑対策と労働災害防止を一体で考えることが重要

令和8年7月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催された「第12回 猛暑対策展」と「第13回 労働安全衛生展」を見学しました。

会場では、冷却ウェアや飲料といった身近な製品から、作業環境を改善する設備、WBGT管理、ウェアラブル端末、AI、アシストスーツまで、多様な安全衛生技術が紹介されていました。

今回の視察を通して改めて感じたのは、安全対策の基本は、働く人の生命と健康を守ることにあるという点です。

特に建設現場では、暑さによる体調不良が、墜落・転落や重機との接触など、別の重大事故につながる可能性があります。猛暑対策を「暑さを我慢するための道具」と考えるのではなく、労働災害を未然に防ぐ重要な安全対策として捉える必要があります。

私たちは、建設業で働く一人親方の皆さまが安心して仕事を続けられるよう、労災保険の特別加入手続きだけでなく、安全衛生に関する情報についても継続的に発信してまいります。

労災保険は「労働基準監督署」へ出向いても加入手続きや、業務災害手続きはしてくれません。
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