「一人親方の皆さん、労災保険に入っていますか?」現場に入るために「とりあえず加入」していませんか?
実は、労災保険には、それ以上に大切な理由があるんです。

労災保険に入るべき3つの理由

決して否定しているわけではありせんが、一人親方として建設現場に入るために「労災保険に入っていないと現場に入れないから」という理由だけで加入する方もいらっしゃいます。
特別加入の労災保険は、それ以上に大切な意味があります。
自分自身の身を守るのはもちろん、家族や取引先を守るための「備え」でもあるのです。
ここでは、一人親方が特別加入の労災保険に加入すべき本当の理由を、3つに絞ってご紹介します。

自分と家族を経済的に守るため

もし現場でケガをして仕事ができなくなったら…。
その間の生活費はどうしますか?
労災保険に入っていれば、休業中の所得を補償する「休業補償給付」を受けることができます。
つまり、働けない期間は、国から給料のようなお金が支給されます。

安心して治療・療養に専念するため

病院に行っても「自己負担0円」で治療が受けられます。
入院費・薬代などもすべて国が負担。
健康保険のように3割負担もありません。

一人親方は代わりが効かない仕事。だからこそ、安心して治療に集中できる環境が必要です。

元請け・お客様との信頼関係を守るため

もし労災保険に未加入で事故が起きたら…
元請けや依頼主にも責任が及ぶ可能性があります。
それだけでなく、信頼も失われかねません。

自分を守るだけでなく、関わる人すべてを守る。それがプロの姿勢です。

任意加入の特別加入の労災保険だから自分で備える

一人親方のような事業者は、会社員(被雇用者)と違い、すべて自分の責任下で判断しなければなりません。労災保険は強制ではなく「任意」だから後で良いか、と後回しにしてしまいがちです。
国の補償を受けるのも、自分で判断し、自分で手続きをしなければなりません。
建設現場で事故が起きて、仕事ができない状態になってしまった。
その時になって「入っておけばよかった……」ではもう手遅れです。
そんなことにならないように、使えるものは使えるようにしておきましょう。

業務災害(労災事故)が起きたらどうなる?

「まさか自分が…」と思っていても、事故は突然やってきます。
「現場でケガをしてしまった」
たったそれだけのことが、日常と生活を一変させるきっかけにもなります。
ここでは、一人親方が事故にあったとき、どのような現実に直面するのかを追ってみましょう。
労災保険に加入しているかどうかで、その後の対応と負担はまったく変わってきます。

ケガの痛みは、働けないサイン

ケガをしても「動けるから大丈夫」「ガマンすれば何とかなる」と思っていませんか?
しかし、痛みは体からの「危険信号」なのです。
無理をして働き続けると、症状が悪化して長期的な休業につながる可能性もあります。
特に建設業などの、体が資本の仕事では、少しのケガでも仕事のパフォーマンスに大きく影響します。

まずは病院へ。「労働中のケガです」と伝えることが重要

ケガをしたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
その際、受付で必ず「労働中のケガです」と伝えることが大切です。

もし後から「仕事中だった」と判明すると、保険の切り替え手続きが必要になったり、健康保険から労災保険への精算トラブルになることもあります。労災保険での治療は自己負担0円ですが、健康保険を使うと通常の3割負担となり、費用がかさむリスクがあります。

治療に関する費用はどこまで補償される?

労災保険では、次のような費用がカバーされます:

  • 診察・検査・投薬などの治療費
  • 入院中の食事代(※標準負担額のみ)
  • 手術・リハビリなどの費用
  • 通院交通費(一定条件下)

ただし、自由診療や差額ベッド代、個室利用、先進医療などは対象外となります。
病院側から事前に説明があるので、納得して治療を受けることができます。

重大なケガが起きた場合、どれくらいお金がかかる?

例えば、現場で膝を強く損傷して手術が必要になったケースです。

  • 人工膝関節置換手術の費用:約188万円
  • 入院日数:約2週間
  • その他:初期費用・薬代・リハビリ費・交通費など

労災保険に加入していればこれらの費用は補償されますが、未加入の場合は全額自己負担です。
健康保険証を出しても、労災事故と判断された場合は適用されず、後から高額な請求を受ける可能性があります。

「高額療養費制度」は使えません

「高額療養費制度で何とかならないの?」と思われるかもしれません。
しかし、この制度は仕事以外の私生活でのケガや病気に適用される制度です。

つまり、仕事中のケガ=労災保険のみが対象
健康保険を使った治療や高額療養制度の利用は、法律上できません。

このように、事故の直後から治療費・生活費の問題が一気に押し寄せます。
「備えていたかどうか」が、数十万〜数百万円単位の差となって現れるのです。

退院後にも続く負担とは?

手術や入院を経て、やっと退院できた。
一つの山を越えたように感じるかもしれませんが、そこからが本当のスタートとも言えます。

一人親方にとって、退院後は「仕事に戻れるまでの空白期間」です。
その間にも、家族の生活費、住宅ローン、車の維持費、子どもの教育費など、毎月の支出は何も変わらず発生し続けます。

さらに、リハビリや定期的な通院が必要となるケースも少なくありません。
しかしその都度、交通費や治療費、時間のロスが重なっていきます。

しかも、一人親方には「会社の病気休暇”や有給制度」なんてものは一切はありません。
「働けないこと=収入ゼロ」になるこの現実は、精神的な不安にもつながります。

退院したからといって、すぐに現場復帰できるわけではありません。
体力や筋力を戻すには時間も努力も必要ですし、無理をすれば再発リスクも高くなります。

だからこそ、退院後も“経済的に支えてくれる仕組み”があるかどうかは極めて重要です。
その支えとなるのが、まさに労災保険なのです。

「貯金があるから大丈夫」は本当に安心?

「もしもの時のために、貯金はしてあるから大丈夫」
そう考える方も多いと思います。確かに、備えがあることは素晴らしいことです。

ですが、現実に事故が起きたとき。
貯金だけで、どこまでカバーできるでしょうか?

実際にかかるお金は想像以上

たとえば、建設現場で転倒し、膝の靭帯を損傷。手術+2週間の入院+2か月のリハビリが必要になったケースを考えてみましょう。

  • 入院費・手術費・検査代など:約80〜120万円
  • 入院中の食事代・差額ベッド代など:約10万円
  • 通院交通費・処方薬・装具など:約3〜5万円
  • 休業中の生活費(家賃・光熱費・食費・ローンなど):1か月20万円 × 2か月=40万円

合計:およそ130万〜170万円の出費が発生する可能性があります。
しかもこれは「軽度〜中程度のケガ」の例であり、大ケガの場合はさらに上回ることもあります。

今まで説明してきた通り、労災事故が起きたらとても大変なことが起きる。そろそろ「自分だけは大丈夫だよ」っていう根拠のない自信を持つのはやめませんか?

労災事故が発生すると一人親方や個人事業主は大変なことになるんです。
自分はケガも病気もしないと思っている方が非常に多い。これは、人間の心理だそうで心理学用語でいうと【正常性バイアス】と言うそうです。

簡単に言うと「自分だけは大丈夫」「まだ大丈夫」「今回は大丈夫」というように、根拠は何も無いけど、自分にとって都合が悪いことは無視したり、情報を入れないようにしたり、情報の過小評価をしようとする人間の根本的心理だそうです。

一人親方の労災保険加入に関して置き換えてみよう!
労災保険加入料金を払うのが嫌だから・面倒だから


●加入しなくても「自分だけは大丈夫だろう」
●加入しなくても「自分だけはバレないだろう」
●加入しなくても「自分だけはケガはしないだろう」
こんな感じです。

でもこれ、人間的に当たり前なんですよ(笑)誰だって未来に起こるかどうかわからないことに「お金」を払いたくないもんです。過剰に不安になるのも良くないですからね。
でも、反対に置き換えて言うならば、将来が分かっていれば誰だってそのように行動しますよね(笑)

西日本労災一人親方部会でも、すでに労災事故は発生しています。報告していますのでご一読を。
労災事故報告はこちら
https://nisijp631.com/category/accident-report/

まとめ

いかがでしたか?
何でこんなに保障が薄いんだと感じた方がいらっしゃったと思います。


国は「労働者」に対しての保障はかなり厚いんです。一人親方や個人事業主、法人の社長は「非労働者」扱いです。
でも実際は労働しています。ですから、特別に加入できる労災保険。正式名称は「特別加入制度 労働者災害補償保険」なんです。

最後に、一人親方が労災保険に加入すべき理由をまとめます。

自分や家族を経済的に守るため

労働中に起きたケガで仕事ができなくなると大変です。
労災保険は、休業給付の金額を決めて加入ができます。万が一、仕事ができない状態になっても国から給料みたいにもらえますから安心です。

安心して治療や療養をするため

入院費用や治療や薬代も、国が全額支払ってくれます。という事は、自己負担が0円。一人親方は自分一人で頑張っているんだから、何かあった時もこれで安心ですね。

依頼主や元請けやお客様を守るため

一人親方の貴方が、労災保険に加入していないで事故を起こしたら、依頼主や元請けさま。強いてはお客様にも責任が回ってきます。(詳しくは別の章で説明)
そうそう、一人親方が仲間の一人親方へ仕事を頼んでも、この関係は必然的に出来ていますから責任が生じます。こんな難しい事、考えているよりも労災保険に加入しておけばいちいち気にすることもなく、仕事に集中できます。

西日本労災は、一人で頑張っている親方さまを応援しています