結論から言うと、
社会保険に入れる民間サービスと
当団体の労災保険特別加入制度は
全くの別物です。
この違いを理解しないと、制度を誤解したまま加入してしまうリスクがあります。
本記事では、フリーランス・一人親方の方に向けて、制度の違いをわかりやすく解説します。

社会保険に関する「民間」サービスとは?
近年、SNSやyoutube、報道でも騒がれている
社会保険加入のサービスにおいて
「一人親方/フリーランスでも社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できる」
と案内されているケースがあります。
これらは一般的に、以下のような仕組みで設計されています。
- 団体や法人に【役員】で所属する
- 役員報酬を受け取る
- その結果、社会保険に加入できる
このように、「被用者」となることで社会保険に加入するスキームです。
特別加入制度とは(公的制度)
一方、特別加入制度(労災保険)は
厚生労働省 が定める正式な制度です
厚労省HP-特別加入制度とは何ですか?より
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei15.html
なぜこんなに「国保」から逃れたいのか?
多くの方が疑問に感じる点です。
国保逃れという言葉は、適切ではないかと思いますが、なぜそのような事態が起きているかが重要です。
まず
行政区の国民健康保険の補償内容が社保に比べて低いこと。
国民年金は、一階建てのため、老後に不安を感じていること。
この二点が大きな要因かと思われます。
一例での試算表を作成しました。
令和8年度
大阪市在住
月額報酬:30万円(健康保険22等級・厚生年金19等級)
月額所得:20万円(10万円は月経費として計+年基礎控除43万円とする)
年齢:40才(介護保険+子ども子育て支援金対象)
| 保険種別 | 行政区国保・年金 基礎控除後の所得197万円 | 協会けんぽ 標準報酬月額(月給) |
|---|---|---|
| 健康保険料算定 | 基礎控除後の所得197万円 所得割分 医療分 197万 × 9.50% = 187,150円/年 後期分 197万 × 3.06% = 60,282円/年 介護分 197万 × 2.60% = 51,220円/年 子ども支援分 197万 × 0.28% = 5,516円/年 所得割合計 304,168円/年 均等割分 医療分:34,990円/年 後期分:11,191円/年 介護分:18,682円/年 子ども支援分:1,841円/年 均等割合計 66,704円/年 年間保険料合計:370,872円 | 17,625円/月 (会社同額負担) 345円/月 (会社同額負担) 年間保険料合計:215,640円 |
| 年金算定 | 17,920円/月 年間保険料:215,040円 | 27,450円/月 (会社同額負担) 年間保険料合計:329,400円 |
| 労災保険算定 | 特別加入制度労災保険利用 年所得197万÷365日=5,397円 算定給付基礎日額:6,000円型 年間保険料等合計:56,420円 | 月により計算 会社員は個人負担0円 どび・土工工事の保険料率 18% 会社100%負担 5,400円/月 年間保険料合計:64,800円 |
| 個人負担額合計 | 585,912円/年負担額 労災保険含むと 642,332円/年負担額 | 545,040円/年負担額 |
| 特徴①健康保険について | 保険料は、年所得と連動する 扶養という概念は無い 傷病手当金は原則無し 出産手当金は原則無し 出産育児一時金有り(50万円) 医療費3割自己負担 | 保険料は、給与で決まる 扶養家族は無料で被保険者になれる 傷病手当金有り 出産手当金有り 出産育児一時金有り 医療費3割自己負担 |
| 特徴②年金について | 所得連動なし 全国一律共通 (年度で計算が変動) 障害年金制度は有り 一階建ての設計(基礎年金部分のみ) ※不足分は、付加年金や年金基金、小規模企業共済などの利用検討必須 | 給与連動 (年1回の標準報酬月額で決定する) 障害年金制度は有り 二階建て設計(基礎年金+厚生年金) |
| 特徴③労災について | 特別加入承認団体から加入 給付基礎日額は自分で決める | 月額給与に連動 業務業種により保険料率が定められている 会社が全額負担のため個人負担額は0円 |
この試算から分かるポイントは3つです。
① 国保は所得連動で高くなりやすい
② 会社員は会社が半分負担している
③ 補償内容も会社員の方が圧倒的に厚い
一人親方・フリーランスと会社員の健康保険の違い
- 健康保険の負担額は、一人親方/フリーランスの方が多い
- 基礎控除後の年間所得と連動して計算される
- 会社員は、半分は会社が負担しているため負担額が少ない
- 会社員は、扶養が多くなればなるほど負担が少なくなる
- 会社員は、傷病手当給付や出産手当も出るが、一人親方やフリーランスは原則給付制度が無い
※国民健康保険からは出産手当給付はありませんが、行政区から出産育児一時金は給付されます。ただし、一時金の金額は行政区によって差異がありますので、詳しくは居住地区の市町村区役所へお問合せください。
国民年金と厚生年金の違いを比較
- 年金保険の負担額は、会社員の方が多い(会社員は月額給与で計算)
- 会社員は「厚生年金」のため、二階建て設計(基礎年金と厚生年金)である
- 会社員は、厚生年金支払額の半分は、会社が負担してくれている
- 総合的にみると補償が薄い分、一人親方やフリーランスの方の方が負担が大きくなる
- 厚生年金部分があるため、会社員の方の方が、年金額は多く給付される
※一人親方やフリーランスの方は、自己防衛のため付加給付制度や年金基金、小規模企業共済を利用することを今すぐ検討してみてください
労災保険の特徴の比較まとめ
- 会社員の労災保険料は、平均支給月額給与で決まる
- ただし、会社員の負担額は無い
- すべて会社が保険料の負担をしている
- 一人親方やフリーランスの方は「特別加入制度の労災保険」を利用する
- ただし、保険料等すべて「自己負担」となる(確定申告時に全額控除可能)
- 補償額の大きさは、会社員なら「平均支給月額給与」で自動で決まり、一人親方やフリーランスは「算定給付基礎日額」を自分で決める
※業務災害時の補償給付制度は、会社員と一人親方、フリーランスともに、すべて同じです。

会社員の方は、社会保険が高すぎる!
という主張が多いように感じます。
一人親方やフリーランスなどの個人事業主は、会社員の方よりも高額な保険料を支払っています。
それでも、その補償内容は会社員の方より薄くなるケースがほとんどです。
ですから
一人親方やフリーランスなどの個人事業主は、会社員と同じような保険制度に加入したくなるのは当然のことでしょう。
ここが大きなポイントです。
では、会社員の方のように
「労働時間の拘束」
「労働場所の指定」
「指揮監督の命令下」
「能力差でもあまり変わらない給与制度」
「休日の指定」
など
束縛されることも多いということを理解しましょう。
特別加入の特徴
特別加入制度は
社会保険のうち「労災保険のみ」の公的な制度であり、保険者(保険に関する責任を負う者)は厚生労働省が管轄しています。
被保険者からの受付窓口は「特別加入承認団体」が行います。
特別加入承認団体から申請があった加入・脱退・業務災害補償給付などの書類に関し、各都道県の労働局・労働基準監督署が実務を行います。
特別加入承認団体とは
厚生労働省労働局より、特別加入の労災保険事務を行うにあたり、適正かつ公平な立場で、労災保険事務処理能力があるという、政府からの承認を受けた団体のことを表します。
- 労災保険法上の公的な制度である
- 本来、労災保険へ加入できない方(個人事業主や自営業者、一人親方/フリーランスなど)を保護するため法制化されたもの
- 法律に基づいて運用されている
つまり、
国が制度として認めている「公的な保険」であり、公的な制度です。
決定的な違い(重要)
| 項目 | 民間サービス | 特別加入制度 |
|---|---|---|
| 制度の位置付け | 民間が設計したスキーム | 法律に基づく制度 |
| 管轄 | 各団体・事業者が行う | 国(厚生労働省・各都道府県労働局/労働基準監督署) |
| 保険の種類 | 健康保険・年金 | 労災保険(労働保険のうち) |
| 安定性 | 事業者に依存 | 法制度として安定 |
| 継続性 | 変動の可能性あり | 継続が前提 |
そもそも論ですが、目的も仕組みも全く異なります
なぜ混同されやすいのか
社会保険と言うと、
一般的には「健康保険」のイメージが強すぎるため、混同されやすいのが現実です。
また、様々なサイトの説明なども、「社会保険≒健康保険」のように記載しているのも、勘違いを誘因する要因となっているようです。
最近の傾向として、最近では徐々にですが、社会保険の内訳として
「健康保険・介護保険・年金保険・労災保険・雇用保険」があるということが徐々に浸透してきています。
勘違いされやすい要因
- どちらも「一人親方/フリーランス向け」と説明される
- 社会保険に加入できるという共通点がある
- 専門用語が多く分かりづらい
- 内容が複雑で保険料の計算もわかりづらい
しかし実際には
「社会保険に入る仕組み」と「労災保険に入る仕組み」は全く別物です。
特別加入制度が安心といえる理由
ここまで説明してきた通り
民間のスキームで運用している「一人親方/フリーランス向けの社会保険」と、公的制度で運用されている「一人親方/フリーランス向けの労災保険」の制度は全くの別物であることは、ご理解いただけたかと思います。
民間のスキームで運用している「一人親方/フリーランス向けの社会保険」で加入できるものは
①健康保険
②厚生年金
公的制度で運用されている「一人親方/フリーランス向けの労災保険」の制度で加入できるのは
①労災保険のみ
です。
① 法律に基づいている
制度自体が法律により整備されており、 突然使えなくなることはありません。
② 全国で統一運用
どの地域でも同じルールで運用されており、事業者ごとの補償内容の差異がありません。
③ 長年の運用実績
長期間にわたり運用されている制度であり、 安定性・信頼性が確立されています。

よくあるご質問(FAQ)
ここでは、お問合せいただいている内容の回答を載せています。
ぜひ、参考にしてみてください。
- Q特別加入制度は、社会保険の代わりになりますか?
- A
なりません。
特別加入制度は社会保険のうち、労災保険のみであり、健康保険や年金とは別の制度です。
- Q社会保険に入れるサービスの方が得ですか?
- A
得か損かという話ではそもそもないかと思いますが、そこを踏まえお答えすると、お得かとは思います。ただし、不正加入は絶対にあってはなりません。
保険という制度は、「相互扶助」の基本精神がありますので、誰かが得をする・損をする、というものではありません。
一人親方やフリーランスなど、個人で事業を行う方は「労働基準法上」労働者ではないため、そもそも組織に雇われている方のような社会保険制度には加入することができませんので注意が必要です。
- Q一人親方やフリーランスは、何の社会保険へ加入すればいいんですか?
- A
一般的には以下の社会保険制度になります。
- 健康保険(行政の国民健康保険や、認可団体の組合国保など)
- 年金保険(行政区にある年金保険事務所から国民年金加入)
- 労災保険(特別加入承認団体経由で加入手続きを行う労災保険)
健康保険と年金は「国民皆保険制度」に則り強制加入で、労災保険は任意加入です。
- Q会社員が加入している社会保険と何が違うの?
- A
会社員(パートやアルバイトも含む)は、会社が半分(折半の原則)支払ってくれるだけでなく労災保険は会社が全額負担してくれています。補償内容も厚くなります。
代表的な差異は以下となります。- 健康保険は、労働を共わない場合は「休業給付補償」が受けられる
- 労災保険は、労働を起因としたものであれば、様々な補償給付が受けられる
- 年金は、厚生年金と基礎年金の二階建てであり、老齢年金受給時に厚生年金分も給付でき、さらに、老齢年金給付権利前に障害を伴った場合には、障害年金が厚生年金分を付加し受給権される
一方、一人親方やフリーランスの方は
- 健康保険は、行政区もしくは組合国保へ自ら加入し、休業補償給付は基本的に無いか、あったとしても給付期間や給付金も限られている場合が多い
- 労災保険は、算定給付基礎日額により補償給付金額が決まる
- 算定給付基礎日額は、決められた金額から、自分で選択しなければならない
- もちろん算定給付基礎日額を安くすれば、保険料等支払いも安くなるが、補償給付金額も当然少なくなる
- Q会社員の方が扱いが良いのは不公平です。
- A
「働き方」をどちらにするかは、個人の選択の自由です。
会社員は、会社の規則によって、働く場所も時間も内容もすべて「指揮監督下」にあります。簡単に言えば「時間と場所」を確定、もしくは拘束されます。
労働の対価も「給与・時給」によって決められており、自己能力によって、労働対価を高額に得ることは殆ど不可能です。
その代わりに、国に対する書類作成の全てを会社が代行して行っているだけでなく、計算も支払いも代行して行ってくれています。
一人親方やフリーランスの方は、時間も場所も労働内容も自ら決めることができ、労働対価も「完成高」ですから、自己能力でいくらでも労働対価を得ることが可能です。
一人親方やフリーランスは、安定と補償がかなり小さいですが、労働に関しては自由ですし、自己能力でいくらでも稼ぐことが可能です。
しかし、公的な補償が少ないだけでなく、自由である以上、責任もすべて「自分」です。
自分はどのような働き方を好むのか?
一兆一旦、良いとこ取りはできない、ということでしょう。
まとめ
- 特別加入は「労災保険」の制度
- 社会保険に関する民間サービスとは仕組みが異なる
- 制度としての安定性は特別加入の方が高い
制度の違いを正しく理解することが、安心につながります。

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ご相談について
制度の違いや加入方法について不安な方は、
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特別加入で社会保険の代わりになりますか?

なりません。
特別加入は労災保険であり、健康保険や年金とは別制度です

社会保険に入れるサービスの方が得ですか?

一概には言えません。
仕組み・リスク・継続性を理解した上で判断が必要です

一人親方/フリーランスは何に加入すべきですか?

一般的には以下の組み合わせです
健康保険(国民健康保険等)
年金保険(国民年金)
労災保険(特別加入)
労働安全衛生法上、いまや加入が当たり前の労災保険です。
労災保険は業務災害時に、国が守ってくれますから、加入すべき
社会保険と言えるでしょう

マスコミやネットで騒がれている
国保逃れとは何ですか?

「国保逃れ」という言い方は、あまりいい表現ではないかと思いますが
労働基準法上の労働者である会社員やパートやアルバイトなど
法人や団体などの組織体で労働をしている方が、ある一定条件を満たすと強制加入となる社会保険です
ここでは、「健康保険と厚生年金」のことですが
基本的には、加入条件に合っていないだろうと思われる働き方をしている方たちが、民間の組織がスキームを作り、加入できるように募集している実態があります
つまり
本来、国民健康保険や国民年金に加入すべき方を
会社や団体からの「健康保険と厚生年金保険」へ加入できるようにする形です
これをマスコミやSNSなどが総じて「国保逃れ」と表しているようです

そこまで会社員社会保険は魅力があるものなんですか?

労働基準法上の労働者は
健康保険料も厚生年金も介護保険も雇用保険も
労使折半(会社と労働者で半分づつ負担)で支払います
さらに
労災保険は、法人が100%負担してくれています
個人事業主である、一人親方やフリーランスは
一般的には、会社の社保には加入できませんので
健康保険は、国民健康保険加入で自己負担100%
厚生年金には加入できませんから
国民年金の一階建てであり、自己負担も100%
労災保険は、特別加入制度で加入できますが
やはり100%自己負担です
また
社保(会社からの健康保険)は、国保と比べ補償が非常に充実しています
厚生年金になれば、基礎年金(国民年金部分と同等)と厚生年金の二階建てとなり、障害年金や老齢年金額も、格段に上がります
理由は多々ありますが
自営業の方は、守ってもらうにも多額に支払いが発生するだけでなく、補償内容も下がるため、やはり魅力的に感じるかと思います
大学卒業後、今は無きXEROXで営業力を発揮。コンテスト受賞歴は多数。
37歳の時人生観を変える大きな出来事に会い会社員を辞め起業。IT、建設、金融、海事や伝統工芸など様々な事業を展開し経験を重ねる。
各種業界経営者からのセミナー依頼を多数受け、講師として活躍。厚生労働省承認特別加入団体の運営を開始。
相談者に耳を傾けるため産業カウンセラーの資格を得て労災関連全般の業務を執り行っている。
–自己紹介–
人見知りという概念が欠落しているらしく、初対面でもすぐ仲良くなります。
相手の気持ちに入り込みすぎて疲れちゃうことも多々あり。
人の笑顔が大好物。嫌いなものは、なぜかシイタケ。細かく刻んであっても見つけられる得意技。
趣味は釣り全般・ギター・ガーデニング・料理・DIY・車・喫茶店回り、船の操船などなど。
多趣味すぎて時々自分でも困ることあり。
釣りに関しては遊漁船経営までしてしまったという変な人です。
座右の銘は「失敗は行動している証」
失敗した人を「ほら見たことか!」という人ほど何もしてないですよね。
