とび・土工工事業は、建設工事の着工前から完成まで、さまざまな工程を支える専門工事です。現場で働く人のための足場を組み、建物の骨組みとなる鉄骨を建て、地盤を掘削し、大型設備や重量物を所定の位置へ据え付けます。住宅、マンション、商業施設、工場、物流倉庫だけでなく、道路、橋梁、トンネル、ダム、河川、造成工事など、建築・土木の幅広い現場で必要とされています。

一般には「鳶職」のイメージが強い業種ですが、建設業法上の正式な業種名は「とび・土工・コンクリート工事業」です。その施工範囲は足場工事だけに限られず、鉄骨組立て、重量物の運搬配置、くい打ち、土工、掘削、盛土、締固め、コンクリート打設、法面保護など多岐にわたります。

一方、土木一式工事業、建築一式工事業、鋼構造物工事業、解体工事業などと工事内容が近く見える場面もあります。建設業許可の業種を判断するときは、作業場所や使用する機械だけでなく、契約上の目的、施工方法、完成させる工作物を確認することが重要です。

この記事では、とび・土工工事業の定義、主な仕事内容、使用する工具・機械・材料、工事例、他業種との違い、建設業許可、役立つ資格、一人親方としての独立、将来性、収入、CCUS、労働災害、労災保険の特別加入まで順を追って解説します。

目次
  1. とび・土工工事業とは
  2. とび・土工工事業が担う主な役割
  3. とび・土工工事業の主な仕事内容
    1. 足場工事
    2. 鉄骨建方工事
    3. 掘削・土工事
    4. 山留め・土止め工事
    5. 重量物運搬・据付工事
    6. くい打ち・くい抜き工事
    7. コンクリート打設工事
    8. 法面保護・吹付け工事
  4. 使用する主な工具・機械・材料
    1. 主な工具・吊り具
    2. 主な建設機械
    3. 主な仮設資材・材料
  5. とび・土工工事業の主な工事例
    1. マンション・ビルの新築工事
    2. 工場・物流施設の建設
    3. 橋梁・道路工事
    4. トンネル・地下構造物工事
    5. 造成・災害復旧工事
  6. とび・土工工事業と他業種との違い
    1. とび・土工工事業と土木一式工事業の違い
    2. とび・土工工事業と建築一式工事業の違い
    3. とび・土工工事業と鋼構造物工事業の違い
    4. とび・土工工事業と解体工事業の違い
  7. とび・土工工事業で建設業許可が必要となるケース
    1. 許可取得を検討したい主な場面
  8. とび・土工工事業で取得すると役立つ資格
    1. とび技能士
    2. 足場の組立て等作業主任者技能講習
    3. 玉掛け技能講習
    4. 小型移動式クレーン運転技能講習
    5. 車両系建設機械運転技能講習
    6. 高所作業車運転技能講習
    7. 施工管理技士
    8. 職長・安全衛生責任者教育
  9. 一人親方として独立するケース
    1. 独立前に準備したいこと
  10. とび・土工工事業に向いている人
  11. とび・土工工事業の将来性・需要
  12. とび・土工職人の年収・収入の考え方
  13. 建設キャリアアップシステム(CCUS)との関係
    1. CCUSを活用する主なメリット
  14. とび・土工工事業で注意したい労働災害
    1. 墜落・転落
    2. 飛来・落下
    3. はさまれ・巻き込まれ
    4. 重機との接触・激突
    5. 掘削面・法面の崩壊
    6. 玉掛け・クレーン災害
    7. 感電
    8. 熱中症
  15. 一人親方は労災保険に特別加入できます
    1. 加入前に確認したいこと
  16. よくある質問(FAQ)
  17. まとめ
      1. 関連記事・内部リンク
      2. 記事作成時の主な確認資料

とび・土工工事業とは

とび・土工工事業とは、足場などの仮設物を組み立て、鉄骨などを組み立て、重量物を運搬・配置し、くい打ち、土工、掘削、盛土、締固め、コンクリート打設、法面保護などを行う専門工事です。建設業許可では「とび・土工・コンクリート工事業」として区分されます。

この業種の特徴は、建築工事と土木工事の両方に深く関わることです。建築現場では足場工事、鉄骨建方、タワークレーンや仮設エレベーターの設置、大型設備の搬入などを担当します。土木現場では掘削、盛土、締固め、山留め、くい打ち、法面保護などを担当します。

工事の初期段階で仮設設備や施工環境を整え、その後も主要構造物の組立てや重機作業に関わるため、現場全体の工程と安全を支える役割があります。自社の作業だけを見て施工するのではなく、他工種の作業順序、搬入経路、揚重計画、立入禁止範囲などを把握し、現場全体で調整する能力が求められます。

とび・土工工事業が担う主な役割

  • 足場、作業床、仮設通路などを設置し、安全な作業環境を整える
  • 鉄骨の柱・梁を組み立て、建築物や構造物の骨組みをつくる
  • クレーンや搬送装置を使い、大型設備・重量物を運搬して据え付ける
  • 地盤を掘削し、盛土、整地、締固めを行う
  • 山留めや土止めを施工し、掘削面の崩壊を防ぐ
  • くい打ち・くい抜きにより構造物を支える基礎を施工する
  • コンクリートを所定の位置へ打設し、躯体や基礎を形成する
  • 法面保護や吹付けにより斜面の崩壊・浸食を防止する

とび・土工工事業の主な仕事内容

足場工事

足場工事は、とび・土工工事業を代表する工事です。建築物の新築、改修、塗装、防水、設備、解体などの作業を安全に行えるよう、建物の形状や作業内容に合わせて足場を組み立てます。枠組足場、くさび緊結式足場、単管足場、吊り足場、移動式足場などを使い分け、手すり、幅木、メッシュシート、昇降設備なども設置します。組立て後は、壁つなぎ、筋交い、床付き布枠などの状態を点検し、使用中の変更や悪天候後にも安全性を確認します。解体時には落下物や倒壊を防ぐため、組立てとは逆の手順を守り、立入禁止措置や合図を徹底します。

足場工事

鉄骨建方工事

鉄骨建方工事は、クレーンで柱や梁を吊り上げ、設計図に従って建物の骨組みを組み立てる工事です。玉掛け、合図、ボルト穴の位置合わせ、仮ボルト締め、建入れ直し、本締めなどを順番に行います。高所で重量物を扱うため、一つの合図や手順の誤りが重大事故につながります。クレーン運転者、玉掛け担当者、合図者、鉄骨上の作業者が役割を明確にし、風速、吊り荷の重心、旋回範囲、周辺作業を確認して施工します。

掘削・土工事

建築物の基礎、地下構造物、道路、上下水道、造成などでは、バックホウやブルドーザーを使って地盤を掘削し、土砂を積込み・運搬します。掘削深さ、法勾配、地下埋設物、地下水、周辺建物への影響を確認し、必要に応じて土止め支保工や排水設備を設けます。掘削した土を再利用する場合は含水状態を確認し、盛土後は所定の厚さごとに転圧して必要な締固め度を確保します。

掘削工事

山留め・土止め工事

深い掘削では、周囲の地盤が崩れたり、隣接建物が沈下したりする危険があります。山留め工事では、親杭横矢板、鋼矢板、地中連続壁、ソイルセメント柱列壁などを用いて掘削面を保持します。切梁、腹起し、地盤アンカーなどを組み合わせることもあります。施工中は山留め壁の変位、地下水、周辺地盤の沈下などを観測し、異常があれば掘削を中止して補強や工法変更を検討します。

重量物運搬・据付工事

工場設備、受変電設備、ボイラー、空調機、発電機、工作機械、医療機器などを搬入し、所定の位置に据え付ける工事です。事前に重量、寸法、重心、搬入経路、床の耐荷重、開口寸法、クレーン配置などを確認し、揚重計画を作成します。クレーン、フォークリフト、台車、ジャッキ、チルホールなどを使い分け、据付後は水平・芯・高さを調整します。狭い場所では数センチ単位の精度が求められます。

くい打ち・くい抜き工事

軟弱な地盤で建築物や橋梁を支えるため、支持層まで杭を施工します。既製コンクリート杭、鋼管杭、場所打ち杭などがあり、地盤条件や構造物の荷重に応じて工法を選びます。既存構造物の建替えでは、地中に残った杭を引き抜く工事を行うこともあります。施工では杭位置、鉛直性、支持層への到達、施工記録を確認し、騒音・振動・残土にも配慮します。

杭打ち工事

コンクリート打設工事

基礎、柱、梁、床、擁壁などへ生コンクリートを打ち込む工事です。ポンプ車の配管やホースを設置し、型枠内へ均等に打設します。打込み速度、締固め、打継ぎ位置、材料分離、型枠の変形などを確認しながら施工します。バイブレーターを使って内部の空気を除き、密実なコンクリートにすることが重要です。

法面保護・吹付け工事

道路、造成地、ダム、河川などの切土・盛土法面では、降雨や風化による崩壊を防ぐため、モルタル吹付け、コンクリート吹付け、法枠、植生基材吹付け、種子吹付けなどを行います。法面の勾配や地質、湧水、周辺環境を確認し、必要に応じてロープ作業や高所作業車を使用します。作業中は落石、墜落、ホースの暴れ、粉じんへの対策が欠かせません。

法面工事

使用する主な工具・機械・材料

主な工具・吊り具

  • ラチェットレンチ・シノ:足場や鉄骨のボルト締付け、穴合わせに使用する
  • ハンマー:くさびの打込み、仮設材の調整に使用する
  • 水平器・レーザー・下げ振り:水平、垂直、通り、位置を確認する
  • ワイヤーロープ・チェーンスリング・繊維スリング:鉄骨や設備を吊り上げる
  • シャックル・フック・アイボルト:吊り具と荷を確実に接続する
  • チルホール・レバーブロック・チェーンブロック:重量物を引寄せ、微調整する
  • 親綱・安全ブロック・墜落制止用器具:高所作業時の墜落を防止する

主な建設機械

  • バックホウ:掘削、積込み、整地に使用する
  • ブルドーザー:土砂の押土、敷均し、粗造成に使用する
  • ローラー・ランマー・プレート:盛土や路盤を締め固める
  • ラフテレーンクレーン・クローラークレーン:鉄骨や重量物を吊り上げる
  • 高所作業車:高所の組立て、点検、取付け作業に使用する
  • 杭打機:既製杭、鋼管杭、鋼矢板などを施工する
  • コンクリートポンプ車・バイブレーター:コンクリートの圧送と締固めに使用する

主な仮設資材・材料

  • 建枠、単管パイプ、鋼製布板、筋交い、ジャッキベース、クランプ
  • 手すり、幅木、階段、メッシュシート、防音パネル、養生材
  • H形鋼、鋼矢板、切梁、腹起し、横矢板などの山留め材
  • 砕石、山砂、改良土、セメント系固化材などの土工材料
  • 生コンクリート、グラウト材、モルタル、吹付け材
  • アンカー、ボルト、座金、無収縮モルタルなどの据付材料

とび・土工工事業の主な工事例

マンション・ビルの新築工事

外部足場、鉄骨建方、タワークレーンや仮設エレベーターの設置、基礎掘削、コンクリート打設などを担当します。建物の規模が大きいほど、他工種との工程調整と安全計画が重要になります。

工場・物流施設の建設

大スパンの鉄骨建方、設備基礎、重量機械の搬入・据付などを行います。稼働中の工場では、生産設備への影響や搬入時間の制限にも対応します。

橋梁・道路工事

橋脚や橋台の掘削、杭、コンクリート打設、吊り足場、鋼桁架設、法面保護などを行います。河川上や交通供用下では、落下物、増水、第三者災害への対策が必要です。

道路工事

トンネル・地下構造物工事

掘削補助、支保工、仮設設備、資材搬入、コンクリート工事などを担当します。換気、照明、粉じん、湧水、重機動線の管理が欠かせません。

トンネル工事

造成・災害復旧工事

切土、盛土、整地、締固め、法面保護、土砂撤去などを行います。豪雨や地震後の復旧では、二次災害を防ぎながら迅速な施工が求められます。

災害復旧工事

とび・土工工事業と他業種との違い

建設業許可の業種を判断するときは、「現場でどの作業をしたか」だけでなく、「どの工事を請負い、何を完成させる契約か」を確認します。以下は代表的な比較です。

とび・土工工事業と土木一式工事業の違い

比較項目内容
とび・土工工事業足場、掘削、盛土、山留め、杭、法面保護などの専門工事を施工する。
土木一式工事業道路、河川、橋梁、造成など、複数の専門工事を組み合わせて土木工作物を総合的に完成させる。
判断のポイント一つの専門工事を請け負う場合はとび・土工工事業、工事全体を総合的に企画・調整して完成させる場合は土木一式工事業として整理される。

とび・土工工事業と建築一式工事業の違い

比較項目内容
とび・土工工事業足場、鉄骨建方、重量物据付、掘削など建築工事の一工程を担う。
建築一式工事業住宅、ビル、工場などの建築工事を総合的に企画・施工管理し、建築物全体を完成させる。
判断のポイント専門工事のみを請け負う場合は、元請であっても原則として該当する専門工事業の許可を検討する。

とび・土工工事業と鋼構造物工事業の違い

比較項目内容
とび・土工工事業既に製作された鉄骨部材を現場で組み立てる鉄骨建方などを行う。
鋼構造物工事業鉄骨、鉄塔、橋梁、水門など、鋼材を加工・接合して鋼構造物を製作・設置する。
判断のポイント現場での組立てが中心か、鋼構造物自体の製作・設置が中心かを、契約内容と施工範囲から判断する。

とび・土工工事業と解体工事業の違い

比較項目内容
とび・土工工事業足場の組立て・解体や仮設工事を行う。
解体工事業建築物や工作物を取り壊すことを目的とする工事を行う。
判断のポイント解体現場で足場だけを施工する場合はとび・土工工事、建物そのものを取り壊す工事は解体工事として整理される。

とび・土工工事業で建設業許可が必要となるケース

建設業を営む者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、工事の種類ごとに建設業許可を受ける必要があります。とび・土工工事を請け負う場合は、原則として「とび・土工工事業」の許可が対象です。

建築一式工事以外の専門工事では、1件の請負代金が500万円未満の工事のみを請け負う場合、建設業許可が不要となることがあります。判断する金額には消費税を含み、発注者が材料を支給する場合は、その市場価格や運送費も加えて考えます。同一工事を正当な理由なく分割し、各契約を500万円未満にすることはできません。

また、許可が不要な金額であっても、元請会社の取引条件、公共工事への参入、金融機関や取引先からの信用、将来の受注拡大を考え、許可取得を検討する事業者もあります。実際の工事区分や許可要件は契約内容によって異なるため、受注前に許可行政庁や専門家へ確認することが大切です。

許可取得を検討したい主な場面

  • 500万円以上となる足場・鉄骨・土工・重量物据付工事を請け負う
  • ゼネコンや大手専門工事会社の一次下請として継続受注する
  • 公共工事や大規模民間工事へ参入する
  • 営業所や技術者を整備し、法人として事業を拡大する
  • 取引先から建設業許可を契約条件として求められる

とび・土工工事業で取得すると役立つ資格

とび技能士

技能検定制度に基づく国家検定です。足場、鉄骨組立て、仮設工事などの知識と技能を客観的に示せます。1級、2級、3級があり、経験に応じて受検します。技能者としての信用、CCUS能力評価、建設業許可の技術者要件などで役立つ場合があります。

足場の組立て等作業主任者技能講習

一定の足場の組立て、解体、変更作業では、作業主任者を選任し、作業方法の決定、直接指揮、材料や器具の点検、安全帯等の使用状況の監視を行わせる必要があります。

玉掛け技能講習

クレーン等で吊り荷を掛け外しする玉掛け作業に必要です。鉄骨建方や重量物据付では中心となる資格で、荷の重量、重心、吊り角度、ワイヤーロープの選定を理解する必要があります。

小型移動式クレーン運転技能講習

吊上げ荷重5トン未満の小型移動式クレーンを運転するための技能講習です。資材搬入や設備据付などで役立ちます。

車両系建設機械運転技能講習

機体重量3トン以上の整地・運搬・積込み用、掘削用などの車両系建設機械を運転する場合に必要です。バックホウ、ブルドーザー等を使用する土工事で重要です。

高所作業車運転技能講習

作業床の高さが10メートル以上となる高所作業車を運転する場合に必要です。10メートル未満は特別教育の対象となります。

施工管理技士

建築施工管理技士や土木施工管理技士は、施工計画、工程、品質、安全などを管理する国家資格です。現場管理、主任技術者・監理技術者、建設業許可の技術者要件を目指す場合に有用です。

職長・安全衛生責任者教育

作業員を直接指揮する職長として、作業手順、危険予知、異常時対応、作業員への指導を行うための教育です。複数の請負人が混在する建設現場では安全衛生責任者としての役割も重要です。

このほか、フルハーネス型墜落制止用器具を用いる作業の特別教育、足場の組立て等の業務に係る特別教育、締固め用機械の特別教育、研削といしの取替え等の特別教育など、実際の作業内容に応じた教育・資格が必要です。

一人親方として独立するケース

とび職人や土工技能者は、会社で経験を積んだ後、一人親方として独立するケースが多い職種です。足場会社、鉄骨会社、土工会社、重量鳶会社などから請負で仕事を受け、現場ごとに応援に入る働き方もあります。技能や資格、取引先がそろえば、小規模な工事を直接受注することも可能です。

独立後は、現場作業だけでなく、見積り、契約、請求、税務、車両・工具の管理、資格更新、安全書類の作成なども自分で行います。売上だけでなく、現場までの移動、待機、雨天中止、道具の購入、保険料などを含めて収支を考える必要があります。

また、契約書上は請負であっても、実態として勤務時間や作業方法を一方的に指定され、報酬や機械・材料の負担などから労働者と判断される場合があります。一人親方として働くときは、契約の名称だけでなく、実際の働き方を整理することが重要です。

独立前に準備したいこと

  • 足場、鉄骨、土工、重量物など、自分の主力分野で十分な現場経験を積む
  • 玉掛け、足場作業主任者、車両系建設機械、職長教育など必要資格を取得する
  • 作業車、工具、墜落制止用器具、保護具を整備する
  • 見積書、注文書、請書、請求書などの書類を整える
  • 建設業許可、インボイス、賠償責任保険、労災保険特別加入を確認する
  • CCUSに資格と就業履歴を登録し、経験を説明できるようにする

とび・土工工事業に向いている人

  • 高所や重機を扱う仕事に強い責任感を持てる人
  • 手順を守り、慣れた作業でも確認を省略しない人
  • 仲間と合図や声掛けを正確に行える人
  • 体力だけでなく、段取りや周囲の状況判断を大切にできる人
  • 工具や機械の点検・整備を丁寧に続けられる人
  • 資格を取得し、より高度な作業や管理業務へ進みたい人
  • 天候、地盤、搬入条件など現場ごとの変化に対応できる人

とび・土工工事は、個人の技量だけで完結する仕事ではありません。吊り荷、重機、高所作業などでは、周囲の作業員との連携が安全を左右します。自分の担当作業だけでなく、現場全体の危険を見られる人が長く活躍しやすい職種です。

とび・土工工事業の将来性・需要

とび・土工工事業は、新築工事だけでなく、既存建物の改修、耐震補強、インフラ更新、災害復旧などで継続的な需要があります。道路、橋梁、上下水道、河川施設などの老朽化が進む中、補修工事のための足場、掘削、仮設、コンクリート工事は今後も必要です。

工場、物流施設、データセンター、再生可能エネルギー関連施設などでは、大型鉄骨や設備の搬入・据付需要があります。一方、技能者の高齢化と若手不足が続いており、安全に作業できる経験者、資格保有者、職長・現場管理ができる技能者の価値は高まっています。

ICT施工、3次元測量、マシンガイダンス、遠隔操作などの技術が普及しても、現場条件を確認し、機械と人の動きを調整し、安全に施工する技能は欠かせません。従来の経験に加えて、デジタル機器や施工データを扱える技能者は、今後さらに活躍の幅が広がります。

とび・土工職人の年収・収入の考え方

とび・土工職人の収入は、雇用形態、経験年数、保有資格、地域、担当工種、夜間・休日作業の有無などによって異なります。会社員の場合は月給や日給、賞与、各種手当によって決まります。一人親方の場合は、請負金額から車両費、燃料費、工具・保護具、保険料、税金、外注費などを差し引いた残りが所得です。

一人親方は日当や売上が高く見えても、現場がない日、雨天中止、移動時間、見積りや請求の時間、資格講習日などは請求できない場合があります。年間の稼働日数と固定費を把握し、月ごとの売上だけでなく、年間収支で考えることが重要です。

収入を高めるには、足場だけ、土工だけに限定せず、玉掛け、クレーン、重機、職長、施工管理などを組み合わせる方法があります。安全記録、施工品質、時間厳守、報告・連絡、書類対応を積み重ね、継続して指名される関係をつくることも大切です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)との関係

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の本人情報、保有資格、社会保険加入状況、現場での就業履歴などを登録・蓄積する仕組みです。とび・土工技能者も技能者登録を行い、現場でカードを利用することで、どの現場でどの程度働いたかを記録できます。

能力評価制度では、職種ごとの基準に基づき、資格、就業日数、職長・班長経験などを確認し、技能者をレベル1からレベル4まで評価します。経験を口頭で説明するだけでなく、資格と就業履歴を客観的に示せることは、転職、応援、下請取引、処遇改善を目指すうえで役立ちます。

CCUSを活用する主なメリット

  • 保有資格と現場経験を一つの情報として示しやすい
  • 元請会社が資格や社会保険加入状況を確認しやすい
  • 職長・班長経験を蓄積し、能力評価を目指せる
  • 若手技能者が次に取得すべき資格や経験を整理しやすい
  • 一人親方が取引先へ技能経歴を説明しやすい

とび・土工工事業で注意したい労働災害

墜落・転落

足場、鉄骨、開口部、法面、高所作業車などからの墜落・転落は、死亡や重い障害につながる危険があります。作業床、手すり、親綱、墜落制止用器具、昇降設備を設け、作業開始前と悪天候後に点検します。

飛来・落下

工具、足場材、ボルト、鉄骨部材、掘削土などが落下し、下方の作業員に当たる災害です。落下防止措置、工具の落下防止コード、立入禁止区域、上下作業の時間調整を行います。

はさまれ・巻き込まれ

鉄骨や重量物の位置合わせ、足場材の運搬、クレーン旋回、重機作業では、部材と構造物の間にはさまれる危険があります。吊り荷の下に入らず、手や足を挟まれやすい位置から離し、合図者を明確にします。

重機との接触・激突

バックホウやクレーンの死角に作業員が入り、接触する事故があります。重機と人の通路を分離し、誘導員を配置し、後退時や旋回時の合図を統一します。

掘削面・法面の崩壊

地山の亀裂、雨水、地下水、振動などによって掘削面や法面が崩れることがあります。地山の状態を点検し、適切な勾配、土止め支保工、排水、立入禁止措置を行います。

玉掛け・クレーン災害

ワイヤーロープの損傷、吊り角度の誤り、重心の見誤り、合図の不一致により吊り荷が落下・転倒します。吊り具の点検、定格荷重の確認、試し吊り、合図の統一を徹底します。

感電

クレーンや足場材が架空電線に接近・接触したり、電動工具や仮設電源から漏電したりして感電する危険があります。離隔距離、絶縁用防具、漏電遮断器、電源設備の点検を確認します。

熱中症

夏季の屋外、高所、無風の場所では体温が上昇しやすくなります。WBGT値、作業時間、休憩、水分・塩分、体調確認、空調服や冷却用品を組み合わせて対策します。

一人親方は労災保険に特別加入できます

労災保険は、原則として事業に使用される労働者を対象とする制度です。労働者を使用せず、自ら請負で建設作業を行う一人親方は、通常の労災保険の対象とならない場合があります。

しかし、建設業の一人親方等は、一定の要件を満たし、労働局長の承認を受けた特別加入団体を通じて手続きを行うことで、労災保険に特別加入できます。加入後は、承認された業務の範囲内で発生した業務災害や通勤災害について、療養、休業、障害、遺族などの保険給付の対象となり得ます。

とび・土工工事では、高所、重機、重量物、掘削面など重大災害につながる危険があります。民間の傷害保険だけでは、治療費、休業中の所得、後遺障害、遺族への補償が十分でない場合もあるため、独立前に特別加入の手続きを確認しておくことが重要です。

また、建設業以外の清掃、草刈り、運送、保守点検なども行う場合、建設業の一人親方として加入した労災保険では、その業務中の災害が補償対象とならない可能性があります。実際に行っている仕事を整理し、加入団体へ業務範囲を確認してください。

加入前に確認したいこと

  • 実際に行う足場、鉄骨、土工、重量物等の業務が対象範囲に含まれるか
  • 加入団体の地域、業種、会費、手続方法
  • 希望する給付基礎日額と年間保険料
  • 粉じん、振動、鉛、有機溶剤などの業務歴により健康診断が必要か
  • 事故発生時の連絡先、現認者、元請証明、必要書類
  • 建設業以外の副業・兼業を行う場合の補償範囲

よくある質問(FAQ)

Q
とび・土工工事業とは何をする仕事ですか?
A

足場、鉄骨建方、重量物の運搬・据付、くい打ち、掘削、盛土、締固め、コンクリート打設、法面保護などを行う専門工事です。建設業許可では「とび・土工・コンクリート工事業」として区分されます。

Q
鳶職ととび・土工工事業は同じですか?
A

鳶職は主に足場や鉄骨などを扱う技能者の呼称です。とび・土工工事業は建設業法上の業種区分で、土工、杭、コンクリート、法面保護など、鳶職のイメージより広い工事を含みます。

Q
足場工事には建設業許可が必要ですか?
A

建築一式工事以外では、原則として1件の請負代金が500万円以上となる場合に建設業許可が必要です。500万円未満でも、契約条件や今後の事業拡大により許可取得を検討することがあります。

Q
鉄骨工事はとび・土工工事業ですか?
A

現場で既製の鉄骨部材を組み立てる鉄骨建方は、とび・土工工事として扱われるのが一般的です。鋼材を加工・接合し、鋼構造物そのものを製作・設置する工事は、鋼構造物工事業との区分確認が必要です。

Q
解体現場の足場は解体工事業ですか?
A

建物の取り壊しを請け負う工事は解体工事業です。解体工事のための足場だけを別に請け負う場合は、とび・土工工事として整理されます。

Q
とび職人になるために資格は必要ですか?
A

補助的な作業を含め、資格がなければ一切働けない職種ではありません。ただし、足場、玉掛け、クレーン、高所作業車、重機など、担当作業に応じた技能講習や特別教育が必要です

Q
一人親方として独立できますか?
A

独立できます。技能と資格に加え、取引先、車両・工具、見積り、契約、請求、税務、安全書類、保険などの準備が必要です。

Q
一人親方は労災保険を使えますか?
A

通常の労災保険の対象外となる場合がありますが、建設業の一人親方は、承認を受けた特別加入団体を通じて労災保険に特別加入できます。

Q
とび・土工工事業は将来性がありますか?
A

新築、改修、インフラ更新、災害復旧、工場・物流施設、再生可能エネルギー施設などで需要があります。技能者不足が続くため、資格、経験、安全管理能力を持つ人材の需要は高いと考えられます。

Q
CCUSへ登録するメリットはありますか?
A

資格と現場経験を蓄積し、能力評価や取引先への技能説明に活用できます。元請会社がCCUS登録を推進する現場もあるため、一人親方にも役立ちます。

まとめ

労災保険は「労働局や労働基準監督署」へ出向いても加入手続きや、業務災害手続きはできません。
厚生労働省・労働局から承認を受けた「特別加入承認団体」から手続きを行い、仕事中の災害から来る経済的損失から身を守りましょう。

西日本労災一人親方部会サイトビュー

西日本労災一人親方部会では、労災保険にかかわるすべての申請書類作成を無料で代行しています。
加入や脱退においては「特別加入承認団体」を通じ申請します。
ですから、ほとんどの労災保険取扱団体では、申請書類の作成を代行しています。
労災事故が発生したら、加入している団体や組合にすみやかに労災事故報告を行いましょう。
西日本労災一人親方部会は、加入から脱退、労災事故報告の連絡が入れば即座に対応しています。
専門家がスピーディに、しかも「無料」であなたをサポートします。

万が一に備えるなら、西日本労災一人親方部会で安心安全なサポートを受けましょう。

関連記事・内部リンク

記事作成時の主な確認資料

  • 国土交通省「建設工事の内容、例示、区分の考え方」
  • 国土交通省・地方整備局「建設業許可の業種区分」「建設業許可申請の手引き」
  • 厚生労働省「技能検定職種及び試験基準」
  • 中央職業能力開発協会「とび(とび作業)」
  • 厚生労働省「労働安全衛生法に基づく技能講習・特別教育」
  • 建設キャリアアップシステム「技能者登録・能力評価」
  • 厚生労働省「労災保険への特別加入」「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」
  • 厚生労働省「建設業における一人親方等の安全及び健康の確保について」

注記:法令、許可要件、資格制度、CCUSの申請要件、労災保険の取扱いは改正されることがあります。実際の申請、契約、資格取得、加入手続きでは、最新の公式情報と所管窓口の案内をご確認ください。

この記事は、建設業法、国土交通省の建設業許可制度、厚生労働省の技能検定・労災保険制度などの公的情報を基に作成しています。制度改正が行われる場合があるため、最新情報は各省庁の公式サイトをご確認ください。